平成142002)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

14−共研−2053

専門分類

7

研究課題名

看護における物語と対話の効果

フリガナ

代表者氏名

シバタ ヨシサダ

柴田 義貞

ローマ字

Yoshisada Shibata

所属機関

長崎大学

所属部局

医学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

6 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

研究目的
 人間はそれぞれ自分の「物語」を生きており、「病気」もまたその物語の一部である。自分のこれま
での生き様を他者に語ることは、その人自身の自尊感情を高め、意識を拡張させ、肯定的な健康パター
ンを促す治療的意味があるといわれている。
 生活史聞き取りとは、個人の思考と経験を年代的な流れを追ってその人独自の視点から捉える専門的
な方法であり、主観的・客観的生活体験をその人の記憶や回想をもとに自己開示させる方法である。
 本研究では、老人保健施設入所者を対象に行われた生活史聞き取りで得られたデータについて、テキ
スト型データ解析による分析を行い、生活史聞き取りの老年看護における効果の評価に関して、従来の
結果と比較検討することを目的とした。
研究経過の概要
 予備的研究として1人の生活史聞き取りデータの分析を試みた。
 対象者は70歳過ぎの女性で、息子と二人暮しであったが、脳出血のため入院中に、息子が急死し、
同時に自宅も火災にあい、そのため老人保健施設に入所することになったが、大きな打撃を受けていた。
面接調査は、老人保健施設入所から約3週間後に始まり、約2か月間に15回の面接調査が行われた。
 テキスト型データ解析ソフトWordMinerを用いて、それぞれの面接調査において出現する言葉の頻度
の時間的経過を追うことを目的とした分析を試みた。しかし、テープ起こしにおいて、同じ言葉の表記
が「仮名」、「漢字」、「仮名と漢字の混在」と異なっていたり、送り仮名の微妙な違い、さらに方言の頻
出など、データ解析以前の難問に遭遇し、その対処に追われてしまった。
 未だ解析の緒についたばかりであるが、いくつかの言葉の15回における出現回数は次のようであっ
た。
自分の死:0→8→2→0→1→3→1→4→0→0→1→0→0→3→1
親族の死:1→0→6→1→1→2→2→5→0→0→0→0→0→0→1
嬉しい:4→6→5→1→0→0→3→0→5→2→6→0→0→0→2
良い:1→17→6→7→19→4→44→37→17→5→29→3→3→64→29
 単に出現数をみているだけで、結論を出すことはできないが、15回の面接調査の過程で、対象者が
精神的に良好な方向に向かったことが推察された。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

大隅 昇

統計数理研究所

鷹居 樹八子

長崎大学

樋口 耕一

大阪大学大学院

福井 誠

甲子園大学

本田 純久

長崎大学