平成31991)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

3−共研−74

専門分類

8

研究課題名

日米のパーソナリティ調査データの比較研究

フリガナ

代表者氏名

マクドナルドースコット パトリ

McDonald-Scott Patricia

ローマ字

所属機関

New York State Psychiatric Institute

所属部局

職  名

研究員

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

本研究の目的は,統計数理研究所が進めてきた連鎖的調査法およびその統計的分析方法の「回答パターンの相互関連分析」(数量化III類)を学び,これまで実施してきた「甘え」と依存性に関する日米比較調査に適用して研究することである。未だ,米国の大学院での生物統計学課程(コロンビア大も含め)では数量化は取り上げられておらず,疫学などの保健科学に適切な方法であると考えるため,アメリカに帰国後は,ここで分析研究したことを教え,数量化の適用や普及に役立ちたいと望むところである。


本研究の目的は、日本人特有の概念と言われている「甘え」に関して、アメリカ人を対象に調査し、その回答の解析に数量化(III類)を適用しながら、既に行った日本人を対象にした調査データと比較して、その共通点と相違点を探ることである。「甘え」という概念を具体化し実証的に調査した研究例はこれまで、あまり見当らない。しかし、最近とくに、日米間に緊張が高まりつつあるので、このような時に日本人の対人関係の重要な側面とされる「甘え」を具体的に取り上げ、「甘え」についてのアメリカ人の考え方を探ることは相互理解にとって、大いに意義があると考えられる。これまでの研究では、日本人を対象にして、「甘え」に関する質問項目(比較の元になる)を作成し、調査を実施した。本年度の研究では、日本人調査に利用したこれらの質問項目を英語に翻訳し、日米比較できるように日本人サンプルに相応するアメリカ人サンプルを選定し、調査を実施した。
研究実施状況は以下のとおりである。
(1)質問項目の翻訳:質問の狙いおよび主なニュアンスを考慮して英語に翻訳した。アメリカでの協力者と検討し、アメリカ人が答え易いように修正した。これを原質問文(日本文)を知らない第三者の日本人に和訳してもらい、元の日本文と比較した。その結果多少の食い違いがあったので、再翻訳の質問文と原質問文を2種類の調査票にし、べつの日本人サンプルにスプリット・ハーフ(折半)法によりテスト調査した。その結果、翻訳の問題は回答にどのような影響をあたえたかを検討することができた。
(2)調査の実施:日本人サンプルと比較するアメリカ人サンプルを選定するにあたって、ニューヨークとアイオワの研究機関に協力してもらった。アメリカ人サンプルは148人である。
(3)データの整理・分析:「甘え」に関する回答に、通常のパーソナリティ調査によるデータ、基本属性データおよび精神健康度のデータを加え、データ・ベースを構築した。これらのデータに対し数量化(III類)を適用し分析して、現在、日本人調査によるデータと比較検討している段階である。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

(1)既存データの利用:既に行なった調査の対象群のうち,共通特性を持っているのは回復したうつ病患者である(日本人群=100人,アメリカ人群=72人)。これらを比較研究の対象にして,数量化IIIを利用し回答パターンを解析する。また別のサンプル(日本人女子大生60人,アメリカ人患者家族および正常対照群275人)は特性が異なり正式的な比較研究はできないが,それぞれの社会でのrepllcationとして利用する。
(2)新しいデータの収集:当研究のアメリカ人調査は「甘え」の質問項目が作成される前に実施されたので,既存データでは連鎖的調査法のincomplete paradigmで分析を行なわざるを得ない。1991年にNew York州立精神医学研究所では第10回目の追跡調査(J.Endicott,Ph.D.,Principal Investigator)が行なわれるので,「甘え」の質問項目を付け加えてもらうことにより比較研究のparadigmを完成できる。調査の実施には1年間必要とし,データ入手は1992年1月頃を予定。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

鈴木 達三

帝京平成大学