平成152003)年度 一般研究1実施報告書

 

課題番号

15−共研−1001

専門分類

1

研究課題名

非可換確率空間における分布論に関する研究

フリガナ

代表者氏名

ヨシダ ヒロアキ

吉田 裕亮

ローマ字

Yoshida Hiroaki

所属機関

お茶の水女子大学

所属部局

理学部

職  名

助教授

所在地

TEL

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E-mail

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研究目的と成果(経過)の概要

通常の確率空間の持つ代数的な側面を抽出し、確率変数達に対応する代数とその上の汎関数
を期待値とみた確率論は一般に代数的確率論と呼ばれる。この内、本研究では作用素環上で展
開される、いわゆる非可換(量子)確率空間をその研究の対象とする。我々の扱う分布は、自
己共役作用素のスペクトル測度を実数上の確率測度と対応させることにより得られる分布であ
る。通常の確率空間の独立性の概念を非可換性がより反映されたある種の独立性に代えること
により、新たな極限定理等も考えられる。自由独立性やブール型独立性はその典型例である。
独立性の概念はモーメントとキュムラントの関係を与えること、すなわち合成積の公式を与え
ることにより特徴付けられているとも考えられる。平成15年度研究では、自由合成積の2径数
変形に関する研究を行い、自由合成積、ブール合成積そしてFermi合成積を補間することが、可能
な変形例を与えることに成功した。この結果に関しては、現在、学術雑誌に投稿中である。
また、別の形式の2径数変形自由合成積の研究も行った。これは、Bose Fock空間とFermi Fock空
間を補間するq-変形とBozejko氏により提案された、t-変形を合わせるものであるが、この変形
を感かえることにより新たな、分割統計が得られることが分かった。現在は、この独立性に基づく
ブラウン運動の構成を行っている。今後はこの変形合成積(独立性)に基づく確率解析(伊藤の公
式)等の研究を行う予定である。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

平成15年度に発表された、代表者に係る分
論文発表
[1]The weight function on non-crossing partitions for the Δ-convolution,
Math.Z.245(2003),105-121.
[2]The combinatorics of the r-free convolution,
Infin.Dimens.Anal.Quant.Probab.and Relat.Top.6(2003),619-627.
[3]The spectrum radii of free convex sums of projections,
Nat.Sci.Rep.Ochanomizu Univ.,54 no.2,(2003),1-9.
[4]The generalized t-transformations of probability measures and deformed convolutions
Prob.Math.Statist.(投稿中)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

市原 亮

奈良工業高等専門学校

梶原 毅

岡山大学

渚 勝

千葉大学