平成51993)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

5−共研−66

専門分類

7

研究課題名

魚類の系統分類

フリガナ

代表者氏名

ハセガワ マサミ

長谷川 政美

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

予測制御研究系

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

5 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

魚類の中で陸上脊椎動物(四足動物)に最も近縁なものはどれかを明らかにするために、核、およびミトコンドリアにコードされている各種蛋白質のアミノ酸配列データに基づき分子系統学的検討を行なう。
また、前年度の共同研究により、魚類の進化速度が鳥類や哺乳類のそれに比べて遅いことが示唆されているためこの点に関してもさらに詳細な検討を加える。


硬骨魚類のうち総鰭類(シーラカンス)と肺魚類とは、そのほかのもの(条鰭類)よりも両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類などの陸上脊椎動物(四足動物)に近縁であると考えられている。つまり総鰭類や肺魚類のなかまから四足動物が進化してきたと考えられているのである。ところが、総鰭類と肺魚類のどちらがより四足動物に近縁かとなると、研究者によってさまざまな意見の違いがある。形態学者の多くは、総鰭類近縁説をとるが、これまでの分子系統学的な研究からは、肺魚近縁説が多少有利であった。われわれは、ミトコンドリアDNAのチトクローム酸化酵素1遺伝子の塩基配列を決定し、アミノ酸配列のレベルで最尤法による分子系統樹の推定を行った結果、これまであまり注目されてこなかった第3の可能性、つまり肺魚類と総鰭類が近縁であるという可能性がかなりあるという結論に達した。ただし、総鰭類近縁説は分子系統学のデータからは考えにくい仮説があるが、肺魚近縁説と総鰭類/肺魚近縁説のいずれかに軍配を挙げるためには、今後もっとデータを蓄積していくことが必要である。このチトクローム酸化酵素1遺伝子のデータについて、いろいろなアミノ酸置換モデルを比較検討した。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Yokobori,S.,Hasegawa,M.,Ueda,T.,Okada,N.,Nishikawa,K.,Watanabe,k.,Relationship among coelacanths,lungfishes and tetrapods;a phylogenetic analysis based on mitochondrial cytochrome oxidase I gene sequences,Journal of Molecular Evolution,in press


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

前年までの共同研究の結果、シーラカンスと肺魚のミトコンドリアDNAの部分配列が既に明らかとなったため、これらのデータおよび他の魚類、四足動物の対応配列データを用いて系統樹の最尤推定を行ない、魚類の中で四足動物に最も近縁なものはどれかを検討する。
さらに、データの量が不十分であることが予想されるので、シーラカンスと肺魚のミトコンドリア全ゲノムの配列決定のための遺伝子解析を実施する。一方、魚類の進化速度に関しては、核にコードされている蛋白質の配列データをもとにミトコンドリアとの相違点などを検討する。
系統樹の最尤推定に関する大規模計算を行なうため、統計数理研究所での共同研究が必要である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

足立 淳

オックスフォード大学

岡田 典弘

東京工業大学

岸野 洋久

東京大学

小島 茂明

東京大学