平成282016)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

28−共研−2069

分野分類

統計数理研究所内分野分類

j

主要研究分野分類

6

研究課題名

統計的探究の促進と統計的知識の構築をつなぐ学習プロセス

フリガナ

代表者氏名

カワカミ タカシ

川上 貴

ローマ字

Kawakami Takashi

所属機関

西九州大学

所属部局

子ども学部

職  名

講師

配分経費

研究費

40千円

旅 費

104千円

研究参加者数

7 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

●研究目的
統計の方法知と内容知の関係に焦点をあてて、統計的探究の促進と統計的知識の構築をつなぐ児童・生徒の学習の様相について実践的に明らかにすることを目的とする。

●研究成果
統計に内在する現実世界の文脈の中でモデリングを遂行する能力を養う立場から、統計データに基づくモデリングを促進する実験授業を開発し,中学校第3学年を対象に実践した。

実験授業で扱った題材は、「人口推計」である。「2018年問題」や「国勢調査」をはじめ、将来人口について考えることは中学生にとって考える必要感を感得できる課題になり得ると考えたからである。課題は2つ設定し、検証可能なデータが入手できる2010年の日本の年齢階級別人口を推測してから、そこでのモデルの創出・検証の過程を踏まえて、2015年の日本の年齢階級別人口を予測するように段階を踏んだ。 

実験授業の結果、データから現象に潜む構造(コーホート)を見いだしたり、データの背後にある要因(死亡数、移動数など)に着目したりしながら、人口を推測するための生徒なりのモデルをつくったり、修正・改善したりする姿を確認することができた。これは、「データから構造を見抜く」「不確実性に基づいて要因を探る」といった統計的な探究に必要する方法知と割合や平均といった数学の内容知を融合させて解決していく様相である。本実践の結果の概要は、川上・峰野(2017)とKawakami & Mineno(2016)にて報告することができた。

今後は、グループ活動の様相や個別課題のレポートに対する取組を詳細に分析していく必要がある。

なお、今年度は、メンバーの都合が合わなかったため、統計数理研究所での打ち合わせを行うことができなかった。本実践の成果は、2017年3月に行われた第13回統計教育の方法論ワークショップ(於:政策研究大学院大学)にて発表した。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

・川上貴・峰野宏祐(2017).統計データに基づくモデリングを促進する授業の開発について?中学校数学において「人口推計」を授業化する?.統計教育実践研究,9

・Kawakami, T., & Mineno, K. (2016). How middle years students create and utilize data models to estimate population: A case study. Proceedings of the 39th Annual Conference of the Mathematics Education Research Group of Australasia, p.688.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

第13回統計教育の方法論ワークショップ(「学習指導要領の次期改訂に向けた統計教育の新展開 〜アクティブラーニングで育成する科学的探究力・問題解決力・意思決定力〜」,2017 年 3 月 3 日(金)・4 日(土),政策研究大学院大学)にて、川上・峰野が発表した。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

小泉 健輔

高崎健康福祉大学

田中 知希

千葉市立磯辺小学校

冨田 真永

静岡県立川根高等学校

峰野 宏祐

東京学芸大学

三輪 直也

岐阜県立関有知高等学校