平成91997)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

9−共研−108

専門分類

8

研究課題名

歯科疾患実態調査データのコウホート分析

フリガナ

代表者氏名

ナカムラ タカシ

中村 隆

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

調査実験解析研究系

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

昭和32年より6年ごとに実施されている「歯科疾患実態調査」(厚生省)は、平成5年の調査で7回分のデータが蓄積され、歯科疾患の実態を捉える上で重要な資料となっている。本研究では、これまでに蓄積した7回分の歯科疾患実態調査データベースを利用し、年齢・時代・世代効果を分離するコウホート分析を適用することによって、歯科疾患の過去の実態と将来の動向を把握するとともに、コウホートモデルの新しい展開を探ることを目的とする。


昭和32年より平成5年まで、6年ごとに実施されている「歯科疾患実態調査(厚生省)」の7回分の資料に対して、年齢・時代・世代効果を分離するベイズ型コウホートモデルを適用した解析を行なった。
具体的には、乳歯の現在歯数データを対象とした。また、交互作用効果を含む新しいコウホートモデルを開発し、歯種別齲蝕率データに適用した。分析は男女別にも行ない、歯科疾患に関する性差の検討も行なった。
さらに、喪失歯を持つ人の割合のコウホート分析も行ない、以前に実施した歯種別現在歯数や、齲蝕歯数のコウホート分析結果と比較した。
その結果、日本人の齲蝕の状況や抜けた歯の本数には、第二次大戦の影響が現在でも色濃く残っていることが確かめられ、また、最近の我が国の歯科保健の向上の結果と思われるコウホート効果も認められた。
全国レベルの継続調査から、年齢・時代・世代効果を分離するベイズ型コウホートモデルによる解析は、単なる横断的あるいは縦断的解析を越えて、我が国の歯科疾患を俯瞰的に解析するのにたいへん有効であることを再確認した。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

那須郁夫・中村 隆・堀内俊孝・丸山一夫・森本 基,乳歯歯種別齲蝕のコウホート分析2 平成5年までの歯科疾患実態調査資料を加えて,口腔衛生学会雑誌,47,590-591,1997.

那須郁夫・中村 隆・堀内俊孝・丸山一夫・森本 基,乳歯歯種別齲蝕のコウホート分析2 平成5年までの歯科疾患実態調査資料を加えて,第47回日本口腔衛生学会総会,1997年10月31日.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

[研究内容](1)昨年度までに蓄積した昭和32年から平成5年までの7回分の歯科疾患実態調査データベースを用いて、分析を行なう。(2)歯種別・齲蝕の状態別(齲蝕罹患の状況、治療の状況、保健行動の状況)・性別に年齢階級×調査時点形式のコウホート表データを作成する。(3)等計量線図等を作成することによって、最近の新しい傾向について把握する。(4)各コウホート表データにベイズ型コウホートモデルを適用するとともに、交互作用効果を含むモデルの開発および適用を行なう。[共同研究の必要性]歯科疾患実態調査は全国規模の継続調査であり、これまでも戦後日本における歯科疾患の実態および世代的特徴を捉えてきている。これを総括的に分析するには、統数研で開発されたベイズ型コウホートモデルを用いる必要がある。さらに、交互作用効果を含む新しいモデルの開発のためには、保健歯科の分野の研究者との協力が不可欠である。また、全7回分のデータベースを昨年度までに構築してきており、その利用の点でも共同研究が必要である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

那須 郁夫

日本大学