平成222010)年度 重点型研究実施報告書

 

課題番号

22−共研−4206

分野分類

統計数理研究所内分野分類

d

主要研究分野分類

6

研究課題名

テキスト・ジャンルに見る文体特徴の計量的分析

重点テーマ

言語と統計

フリガナ

代表者氏名

イシカワ ユカ

石川 有香

ローマ字

ISHIKAWA Yuka

所属機関

名古屋工業大学

所属部局

工学研究科

職  名

准教授

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

研究目的と成果(経過)の概要

テクストは、通例、書かれた目的・テーマ・対象とする読み手などによって、特定の文体的特徴を備えているとされる。そのため、異なる書き手によるものであっても、同一のテクスト・タイプ(ここでは、「ジャンル」とする)に属するテクストは何らかの言語学的特徴を共有していると考えられる。従来、テキスト・ジャンルは、主に書き手または読み手による直観的な分類に委ねられてきたが、本研究では、テクストに内在する言語特徴を計量的に分析することによって、客観的なジャンル指標を提示することを目指した。
本年度は、専門用語など、固有のジャンルにのみに出現する言語特徴に焦点をあてるのではなく、フェミニズム言語改革によって提示された、性明示のない職種名称を調査の対象とした。調査においては、既存のジャンル別コーパスを用いて、調査対象とする語句がそれぞれのコーパスにおいて出現する頻度や環境を数量化し、ついで、これらの言語特徴を変数としてとらえることにより、多変量解析を用いてジャンルの特徴を示す指標を探索した。さらに得られた指標の妥当性を、他のジャンル別コーパスに適応することで評価した。
 性明示のない職種名称は、もともと学術分野でその使用の有効性が提唱された。そのため、学術テクストではその使用が高いと予想されたが、本調査の結果からは、学術テクストでは限られた種類の使用しか見られず、また、差別的であるとされる男性を明示する職種名称の使用頻度が高いことが分かった。一方、新聞テクストにおいては、男性を明示する名称や女性を明示する名称の使用がいまだに高く、小説コーパスでは、女性を明示する名称の使用がとりわけ高いことが分かった。さらに、経済雑誌などを含む雑誌コーパスでは性明示のない名称の使用が多いことも明らかになった。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

1.研究論文
Ishikawa, Y. (2010).“English Job Titles Seen in Major Registers: A Corpus-based Approach.” Corpus, ICT, and Language Education, pp.89?98.(編者:G. R. S. Weir & S. Ishikawa)平成22年9月、University of Strathclyde Publishing.
石川有香 (2010).「多文化共生社会における英語教育と言語アセスメント」(小宮富子他6名との共著)平成22年12月20日、『JACET中部支部紀要』第8号(JACET中部)、pp. 33?50.

2.共編著書
石川有香 (2010).『英語教育と文化』(編著:塩澤正、吉川寛、石川有香)平成22年11月、大修館書店(英語教育学大系 全13巻シリーズの第3巻)

3. 研究発表など
Ishikawa, Y. (2010). “English Job Titles Seen in Major Registers.” 平成22年9月22日 ICTATLL 2010 (Society of ICT in Analysis, Teaching and Learning of Language).
Ishikawa, Y. (2010) “What Women Say and Don’t Say.” 平成22年10月20日, International Linguistic Conference in Warsaw (ILCW).

石川有香 (2010) 「性を明示する語の使用 ? 日本語コーパスからの調査 ?」平成22年6月20日、2010年度 日本女性学会大会.
石川有香 (2010) 「東海圏の工業大学における初年次英語教育の現状と課題」平成22年6月26日、中部地区英語教育学会 学会設立40年記念 第40回大会.
石川有香 (2010) 「映画に見るジェンダー」平成22年8月1日、映画英語教育学会 2010年度東海支部大会(招待講演)
石川有香(2010)「初年次教育におけるEGSP教材?言語アセスメントの観点からの分析?」、平成22年8月8日、全国英語教育学会 第36回研究大会
石川有香(2010)「多文化共生社会における大学英語教育と言語アセスメント」(小宮富子他6名の共同研究)平成22年9月8日、第49回大学英語教育学会(JACET)2010年度全国大会

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

「統計数理研究所言語系共同研究グループ夏季共同研究会」(2010年8月31日?9月1日、統計数理研究所)に参加、研究発表を行った。
発表課題「テキスト・ジャンルに見る言語特徴」
   1)「職種名称とジャンル」 石川有香
   2)「情報分野の文体の特徴」 浅井淳
   3)「基底表現にみる連濁の起こりやすさ」浅井淳

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

前田 忠彦

統計数理研究所