平成232011)年度 一般研究1実施報告書

 

課題番号

23−共研−1001

分野分類

統計数理研究所内分野分類

a

主要研究分野分類

3

研究課題名

状態空間モデリング手法を用いた害虫被害拡大の解析

フリガナ

代表者氏名

ヤマナカ タケヒコ

山中 武彦

ローマ字

YAMANAKA Takehiko

所属機関

(独)農業環境技術研究所

所属部局

生物多様性研究領域

職  名

主任研究員

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

ナラ枯れのように、日本全国で深刻な問題となる森林被害は、その社会的・経済的影響の大きさから、詳細かつ正確に被害記録が残される。こうした長期・広域被害データは、将来の被害予測に資するだけでなく、生物の移動や拡散に関する基礎生態学的な問いに答えうる貴重な資料となる。本研究では、ナラ枯れメッシュデータ(1km四方)を使って、ナラ林枯死の原因となっている害虫カシノナガキクイムシの個体群モデルを構築し、移動拡散過程の解明を行った。具体的には、統計科学スーパーコンピュータシステムを利用して、個体群モデルに対して、粒子フィルタを用いたデータ同化を行った。伊庭准教授・上野准教授から指導いただき、個体群モデルの再調整と、最尤法によるパラメタ推定、粒子フィルターを使ったシミュレーション発展を行った。その結果、データに最も適合したモデルとパラメタセットの選択を行うことができた。しかし、視覚的な検証を行ったところ、実際の被害拡大とシミュレーション結果は大きくずれており、何か重要な生態学的なプロセスを加味する必要があることが示唆された。今後、さらにモデルの改良を行って、再度データ同化を行うことを検討している。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

学会発表2件
1. 2011年第27回日本個体群生態学会 (岡山大学)森林害虫の長期広域調査データを個体群研究に応用する(企画シンポジウム)山中武彦・加賀谷悦子、コメンテーター:富樫一巳「状態空間モデルを使ったナラ枯れ分布拡大様式の解明」山中武彦

2. 2011年The Ecological Society of America Annual Meeting (Austin, Texas, USA) Severe mass oak defoliation in Japan by oak wilt disease: Origin and propagation pattern of the defoliation Takehiko YAMANAKA, Kouichi Nunokawa, Shoichi Saito, Hiroshi Kondoh, Etsuko Shoda-Kagaya and Shun'ichi Makino

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

伊庭 幸人

統計数理研究所

上野 玄太

統計数理研究所