平成282016)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

28−共研−2067

分野分類

統計数理研究所内分野分類

i

主要研究分野分類

8

研究課題名

森林資源管理放棄リスクの推定とハザードマップ構築

フリガナ

代表者氏名

ヨシモト アツシ

吉本 敦

ローマ字

Yoshimoto Atsushi

所属機関

統計数理研究所

所属部局

数理・推論研究系

職  名

教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

83千円

研究参加者数

4 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

 現状の森林を取り巻く経済環境下では,中山間地域における再造林の放棄・間伐などといった管理そのものの放棄が問題となっている.管理が不十分な森林では温暖化防止への貢献である炭素固定機能ばかりでなく,水源涵養などと言った他の公益的機能に加え,良質な木材の生産を困難にするばかりか,さらなる自然災害発生の引き金になることが危惧される.また,管理放棄は森林の持続的な二酸化炭素固定能力を低下させるとともに,他の自然災害をも引き起こす負の要因にもなり得る.管理放棄の背景には,主に将来的な価格の不確実性に対する森林所有者の回避行動があり,持続的森林資源管理の達成には,そのような管理放棄の発生確率を事前に予測し,リスク管理を時空間的に行うことが必要不可欠であり,そのためのハザードマップの構築が重要になる.
 まず,森林の管理放棄に対する意思決定については,確率動的計画法の枠組みを用いた.そこでは所有者の放棄意思は市場価格の動態に左右されるとし,価格動態を幾何平均回帰プロセスにより確率モデル推定を行った.次に,確率モデルを増減という単純二項過程により近似し,確率動的計画法に取組んだ.その結果構築される最適化モデルを用いて,管理持続を可能とする市場価格の閾値を推定することが可能となった.
 次に,確率微分方程式とFokker-Planck偏微分方程式は一対一に対応するため,推定される幾何平均回帰プロセスから時間の変化に伴う価格変動の分布をこの偏微分方程式から数値的に推定することが可能である。この特徴を利用し,将来的に市場価格が推定される閾値を下回る確率を推定することが可能となり,管理放棄リスクに対するハザードマップの構築ができることが判明した.なお,今回は当初計画していた試験森林の選定が困難になったため,実際のGIS空間情報を用いたハザードマッピングは今後の課題としたが,ここで構築された管理放棄リスク推定に関わる手法は十分汎用性があるものと期待できる.

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

下記インドネシア・ランプン大学のワークショップにて研究成果「Econometric Techniques for Ecological Risks and Sustainability Certification 」を発表
Terms of Reference (TOR) of International Workshop on Quantitative Analysis for Ecological Risks and Sustainability Certification: Application of R Software in Natural and Social Sciences
Wednesday, February 22, 2017 at 9.00-13.00
in LPPM Meeting Room at 5th floor of Rectorate Building University of Lampung (UNILA), Bandar Lampung, Indonesia

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

伊高 静

統計数理研究所

加治佐 剛

鹿児島大学

加茂 憲一

札幌医科大学