平成222010)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

22−共研−2004

分野分類

統計数理研究所内分野分類

a

主要研究分野分類

3

研究課題名

一回繁殖型多年生草本における時空間的個体群動態の解析

フリガナ

代表者氏名

タニ トモカズ

谷 友和

ローマ字

TANI Tomokazu

所属機関

上越教育大学

所属部局

大学院学校教育研究科

職  名

講師

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

 本研究の目的は、ユリ科の一回繁殖型草本植物、ウバユリとオオウバユリの間に生じている地理的サイズ変異の原因を、個体群のセンサスと統計モデルによって解明することである。
 両植物の種子が発芽してから開花して一生を終えるまでの年数(寿命)を特定するため、2007年に栃木県の東京大学附属日光植物園内にウバユリの調査区を、2008年に群馬県片品村東小川地内にオオウバユリの調査区を設置して個体数センサスを続けてきた。2010年は、5月21,22日に日光植物園にて、5月23,24日に東小川にてセンサスを行い、のべ546個体の生死と、植物高、葉数および葉サイズを測定した。
調査の結果、日光植物園の非開花個体は2〜6葉に達すると開花したが、東小川では4〜7葉に達しないと開花せず、ウバユリの方がオオウバユリよりも早い生育段階で開花していた。実生個体の1年目の生存率は、日光植物園では57%、東小川では46%であった(2009年と2010年の平均)。また、発芽後1年目〜2年目にかけての生存率は、日光植物園と東小川でそれぞれ81%と55%であった。以上より、ウバユリの方がオオウバユリよりも幼少段階の生存率が高いことが考えられるが、生存率の年変動が大きく、さらなるデータの蓄積が必要である。また、個体の寿命を特定するため、実生個体が開花するまで継続して調査を行いたい。
 調査で得られた葉数の経年変化の情報に基づき、多項モデルを用いて各葉数における齢の確率分布を推定する方法を検討した。しかし、現段階ではデータ不足により、寿命の推定には至らなかった。今後、データが蓄積した時点で、再度、統計モデルによる齢推定を行い、学術論文として発表する予定である。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

論文発表
 Araki, K., Shimatani, K., Nishizawa, M., Yoshizane, T. and Ohara, M. (2010) Growth and survival patterns of Cardiocrinum cordatum var. glehnii (Liliaceae) based on a 13-year monitoring study: Life history characteristics of a monocarpic perennial herb. Botany 88:745-752.
(本研究に関連して、共同研究者の島谷は、荒木(京都大生態研センター)・大原(北海道大院地球環境)らと行った、長期モニタリングに基づくオオウバユリに関する論文を執筆した。)

学会発表
谷 友和・舘野正樹(2008)一回繁殖型多年草ウバユリとオオウバユリの生活史戦略の違い, 日本生態学会第55回大会.

 谷 友和・舘野正樹(2009)ウバユリとオオウバユリの発芽特性と実生の成長:個体サイズの逆転, 日本生態学会第56回大会.
(当該研究の中核である、生活史比較と実生の成長に関する研究は2008年から継続している。)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

島谷 健一郎

統計数理研究所