平成41992)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

4−共研−85

専門分類

7

研究課題名

腎移植後の大腿骨頭壊死:疫学的及び統計学的研究

フリガナ

代表者氏名

ニノミヤ セツオ

二ノ宮 節夫

ローマ字

所属機関

東京大学

所属部局

医学部

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

8 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

腎移植後に発症する大腿骨頭壊死症は患者の社会生活への復帰を妨げる原因不明の疾患である。今回の研究の目的は、磁気共鳴画像により骨頭の病態を分析し、また疫学調査および統計データ解析を行い、この疾患の危険因子を解明し、その予防手段を創出することである。


本研究の目的は、疫学的および統計学的方法により、腎移植後の大腿骨頭壊死の発症危険因子を明らかにすることである。前回の共同研究(2−共研−68)により、大腿骨頭壊死が発症した患者のデータ構造は、発症しない患者とは異なることが明らかになった。
また、永田らの研究から、腎移植患者では、投与された免疫抑制剤によって生体反応に差異が生じることが推定されている。このため、今回の研究では、免疫抑制剤として第一選択となっているシクロスポリンに着目した。対象は、東大医科学研究所人工臓器移植科で腎移植を受け、術後にシクロスポリンを投与された21例とした。
大腿骨頭壊死の発症は、単純X線写真に比べ、感受性、特異性ともに優れている磁気共鳴画像により判定した。また、主成分分析法を用いて、臨床検査値および免疫抑制剤投与量を総合的に分析し、大腿骨頭壊死が発症した患者と発症しなかった患者のデータ構造を比較した。
その結果、両者のデータ構造は異なることが推定された。同時に、発症と関連する可能性がある因子として、副腎皮質ステロイド製剤の投与量、腎機能、最高・最低血圧、副腎皮質ステロイド製剤以外の免疫抑制剤の投与量が抽出された。このうち、最高・最低血圧は、循環動態に関連する検査値であり、術後管理が大腿骨頭壊死の発症に関係している可能性が推定された。
今後は、大腿骨頭壊死の発症のリスクの高い患者を、臨床検査値および免疫抑制剤投与量から判別する方法を開発する方向で研究を進めて行くことが必要と考えられた。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Yoshio Takatori,Takashi Kokubo,Setsuo Ninomiya,Shigeru Nakamura,Shuhei Morimoto, Ikuo Kusaba,Avascular necrosis of the femoral head. Natural history and magnetic resonance imaging,Journal of Bone and Joint Surgery, [Br] 75-B: 217-221; 1993


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

前回の共同研究(2−共研−68)により大腿骨頭壊死が発症した患者のデータ構造は、発症しない患者とは異なることが明らかになった。また磁気共鳴画像による研究から、骨頭の病態をさらに詳細に知ることができるようになった。
今回の研究では、シクロスポリン投与を受けた腎移植例を対象に、磁気共鳴画像検査と臨床検査値の多変量解析を行い、発症の危険因子を検討する。そのため、この研究は統計数理研究所との共同研究として実施することが必要である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

草場 郁夫

東京大学

小久保 宇

東京大学

駒澤 勉

統計数理研究所

杉本 久之

東京大学

高木 廣文

統計数理研究所

高取 吉雄

東京大学

森本 修平

東京大学