平成222010)年度 一般研究1実施報告書

 

課題番号

22−共研−1016

分野分類

統計数理研究所内分野分類

f

主要研究分野分類

5

研究課題名

回転円すい体の外表面を上昇する液膜流の微粒化に関する非線形ダイナミクス

フリガナ

代表者氏名

アダチ タカヒロ

足立 高弘

ローマ字

Takahiro Adachi

所属機関

秋田大学

所属部局

工学資源学部機械工学科

職  名

准教授

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

液体微粒化過程では,ファン,コンプレッサーおよびポンプなどを用いて液体に高圧をかけ,ノズルから噴出させることで液を微粒化させる方法がよく用いられている.しかし,複数の機械で構成されるため装置が大きくなることや噴霧特性(液滴の径や噴霧流の流量など)の制御が難しいなどの問題点が存在する.そのため,コンパクトで消費電力が少なく手軽に噴霧特性を調節できる新しい噴霧流の生成機構が求められている.

本研究では,噴霧流の生成機構として回転円すい体を利用した方式を取り上げる.すなわち,円すい体の頂角を下にして水に浸し回転させることで,円すい体の外表面を液が上昇し,液膜を形成し微粒化する現象を利用するものである.これまでに,回転円すい体の内表面を遠心力によって水が上昇していく現象は広く知られており多くの研究がなされてきたが,回転円すい体の外表面を液膜流が上昇する現象については,これまでに研究報告がなく詳細は明らかではない.液膜流には気液界面に波が形成されることが予想され,ある程度大きな有限振幅の波にはカオスのような非線形性の強い不規則な変動パターンが液膜表面に現れる場合があり,統計的な扱いが必要になる.また,この円すいを上昇した液膜流は膜厚が薄くなり,連続体としての性質を維持できなくなると微粒化して粒状になる.この流体粒子の粒径や粒子の飛散方向などにも不規則性が現われると考えられ, それらの解明にも統計的な取り扱いが必要となる.

本研究では,回転円すい体の外表面を上昇する液膜流の微粒化過程および微粒化したあとの粒子の粒径や飛散方向について数値解析を行ない,回転円すい体の回転数や頂角等と微粒化現象との関係を明らかにすることが目的である. そこで,有限差分法を基にHSMAC(Highly Simplified Marker and Cell Method)法とCLSVOF(Coupled Level Set and Volume of Fluid Method)とを用いた数値解析プログラムを作成してきた.今年度は,GFM(Ghost Fluid Method)法をプログラムに取り入れることにより,気液界面でのジャンプ条件が適切に反映されるように改良を行った.そのため,より現実に近い気液二相流の数値シミュレーションが可能となった.

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

論文:
1) 回転円すい体の外表面を上昇する液膜流れ,
足立高弘,佐藤直也,小針直人,堀紀弘:
日本機械学会論文集(B編) , 第76巻761号, pp. 161-163 (2010)
2) Liquid Film Flow Rising along the Outer Surface of the
Rotating Cone ,
Takahiro Adachi, Naoya Sato, Naoto Kobari and Toshihiro Hori:
Heat Transfer-Asian Research, Vo. 39, pp. 492-496 (2010)
3) 回転円すいの外表面を上昇する液膜流れ,
足立高弘,新井晶大:[特集] 注目研究in年会2010、ながれ 29 (2010) 451 - 453

講演論文:
1) 回転円すいの外表面を上昇する液膜流れ,
足立高弘,新井晶大:
日本流体力学会年会2010講演要旨集, pp. 61-62(2010)
2) 回転円すいの外表面を上昇する液膜流れの数値シミュレーション
新井晶大,足立高弘:
日本機械学会東北支部第46期秋季講演会講演論文集No.2010-2,
pp.47-48(2010)

特許:
1) 回転体を上昇する液膜流を用いた水質浄化システム、
特許 2011-023112、出願日 2011/2/4

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

特になし

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

新井 昌弘

秋田大学

太田 圭一

秋田大学

嶋田 賢希

秋田大学