平成292017)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

29−共研−2021

分野分類

統計数理研究所内分野分類

b

主要研究分野分類

5

研究課題名

複雑構造モデリングによる層流―乱流遷移後期過程における渦動力学の解明

フリガナ

代表者氏名

マツウラ カズオ

松浦 一雄

ローマ字

Matsuura Kazuo

所属機関

愛媛大学大学院

所属部局

理工学研究科生産環境工学専攻

職  名

准教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

・研究目的
 平板境界層流れの直接シミュレーションにより得られる大規模非定常データを統計解析し,層流?乱流遷移後期過程における渦動力学を解明することを目的とする。

・研究概要
 流れが層流から乱流に遷移する過程の確かな予測と制御は流体力学における基礎的重要課題の一つである。工学的な観点からも航空機の主翼周り流れ,ガスタービン翼列流れ,配管内部流れなど様々な場面で機体安定性,効率,騒音・振動に関連し問題となる。

これまで線形安定性理論,弱非線形安定性理論,過渡増幅理論やエネルギー法といった様々な安定性解析や直接シミュレーション(DNS)により遷移過程が調べられてきたが,今尚層流の終焉と乱流の発生には未解決問題が残る。特に,遷移の後期過程においてどのような渦構造が現れ,相互し干渉,乱流化してゆくのかは曖昧模糊としている。初期条件や境界条件が与えられた状況でDNSを実施すれば一応の遷移過程を再現することができるが,得られた大規模計算データの中でどのような渦挙動が生じているかは明確でない。遷移シミュレーションと統計数理モデリングの一層の融合が解決の糸口になると期待される。

そこで本研究は,特に平板境界層を対象としてDNSを実施し,得られる大規模非定常データを統計解析し,層流?乱流遷移後期過程における渦動力学を解明する研究を行う。

・研究成果

本年度は,(A)これまで著者が提案したヘアピン渦モデルに基づく3次不安定性モデルからの発達に対する主流乱れの影響を明らかにすることができた。(B)また,3次不安定性モデルの発達に置いてoff-wallモードとnear-wallモードが連結する過程について明らかにした。(C)ヘアピン渦の発達解析にクラスタ分析を提案し,多数渦群の中で壁面近傍の渦がどのように変形・発達するか明らかにした。特に,(A)では,主流乱れの影響によりヘアピン渦は主流乱れ無しの場合に見られる対称的ヘアピン渦から変形する。主流乱れがない場合,primaryヘアピン渦からsecondaryヘアピン渦が複数個だけ生成されたが,主流乱れがある場合,より多くのsecondaryヘアピン渦が生成されることが分かった。また,対称的なヘアピン渦に加えて,one-legヘアピン渦が共存することが分かった。(B)では,完全擾乱方程式を導出することが出来た。また,せん断層の不安定性が生じる機構およびoff-wallモードとnear-wallモードが連結することにより,corkscrew型擾乱が形成されることが分かった。(B)ではクラスタ分析を導入することにより,乱流渦の新挙動を定量的に明らかにすることに成功した。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

1. K. Matsuura, K. Matsui, N. Tani, "Effect of free-stream turbulence on the global pressure fluctuation of compressible transitional flows in a low-pressure turbine cascade," International Journal of Numerical Methods for Heat & Fluid Flow, Vol. 28, No. 5, pp. 1-17, 2018.
2. K. Matsuura, "Disturbance growth during hairpin vortex generation in a laminar-boundary-layer flow," Proc. of bifurcations and instabilities in fluid dynamics, 2017, pp. 1-1.
3. K. Matsuura, "DNS Study on the effect of free-stream turbulence on hairpin-vortex evolution," Proc. of the 44th national conference on fluid mechanics and fluid power, December 14-16, Amrita University, Amritapuri Campus, Kollam, Kerela, India, pp. 1-4 (2017).
4. K. Matsuura, K. Matsui, N. Tani, T. Goto, "Compressible transitional boundary layers subjected to rotor-stator interaction in a low-pressure turbine," 53rd 3AF International Conference on Applied Aerodynamics, 26-28 March 2018, Salon de Provence-France, pp. 1-7 (2017).

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関