昭和601985)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

60−共研−26

専門分類

5

研究課題名

衛星回線と地上回線との電波干渉に関する統計的研究

フリガナ

代表者氏名

ヒグチ イサオ

樋口 伊佐夫

ローマ字

所属機関

帝京技術科学大学

所属部局

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

10GHz以上の周波数の衛星通信においては降雨時においては,同じ周波数帯を用いる地上回線と干渉しあって減衰が大きくなる。降雨分布をもとにしてこうした電波障害のおこる確率を推定し回線設計に役立てる知見を得ることが目的である。


共同研究者らは,衛星回線における降雨減衰ならびに移動通信におけるタイバーシチ効果,地上通信での干渉電波による減衰に関し,従来研究を行って成果を得て来たので,表題の衛星回線と地上回線の相互干渉に関しても比較的簡単に成果を得るものと考えた(申請時点で)。ところが検討した結果,時間がかかること,郵政省電波研や,NTT,KDDなどですでに研究をすすめていること,理論をつくるための指針となるデータや結果の実証のためのデータを得る手続きが,森田がNTTを退職しているため,簡単でなくなったことにより,priorityのある価値の高い研究をすることが困難であることが判明した。そこで問題をかえて,近い将来急激な増加が見込まれつつある都会地における移動無線(自動車電話)にまとをしぼり,ビルの上を越して来る回折波による通信の場合の損失,いわゆるリッジ損失を計算することにした。ビルの高い位置を確率変数としてモンテ・カルロ法シミュレーションを行う。それぞれの場合の計算は,これまでに確立され,常用されているフレネル環による方法を用いる。高いビルのそばに低いビルがある場合などに対して簡単な補正を施せば期待される結果が得られるものと考えていたが,本共同研究の終了期においては予期に反しよい結果が得られていない。その理由を検討中であるが,方法に欠陥があるよりも,計算補助を依頼した学生が不訓れであったためプログラムにミスのある可能性が強い。目下佐藤がプログラムを徹底的に洗いなおしている所である。
研究期間内に正しい結果が得られる見込みであったため61年度には申請していないが,今後共同研究者はVoluntaryで研究を継続しできるだけ早い時期に完成したい。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

できれば61年中に電子通信学会誌に発表するつもりである。
これまでの研究は共同研究者の連名で発表した“移動通信におけるダイバーシチ受信電力分布”(電子通信学会論文誌Vol.J66−B,No4)
“周波数ダイバーシチを用いた衛星通信回線における降雨減衰改善効果の推定”(電子通信学会論文誌Vol.J−61−B,No.10)など。


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

共同研究者の森田は旧電々公社電気通信研究所勤務時代,降雨減衰に関する実証的研究とその実用的研究を永年積重ね,この方面での貢献では世界的に有名である。樋口はその研究を永年にわたって確率計等数値計算の面でささえてまた,近年は統計数理研に出入りしていた佐藤の貢献も増加して来た。3人のチームで実績をあげて来ている。今回の問題は新しいが,過去の経験から実用的解決は充分期待できる。関連したプログラムが統数研にあるので統数研で共同研究を行うのが最も成果をあげやすい。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

佐藤 定夫

東京電機大学

森田 和夫

(株)セコムテクニカルセンター