平成クオ1989)年度 共同研究集会実施報告書

 

課題番号

クオ−共研−87

専門分類

7

研究課題名

臨床時系列データ解析法の開発に関する研究

フリガナ

代表者氏名

カワイ タダシ

河合 忠

ローマ字

所属機関

自治医科大学

所属部局

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

23 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

最近の臨床検査法の急速な進歩によって,膨大な量の検査データが生み出されるようになった。これから得られるべき貴重な情報を診療や研究に役立てるためには,適切な解析法に基づいたデータ解釈がなされなければならない。そのような解析法としては,従来から医学以外の自然科学や,社会科学の領域で用いられている統計方法が有力と思われるが,実際には臨床におけるデータ採取の困難さや,医学領域特有の問題によって,それらの手法を従来のままの形で利用することが出来ない。そこで臨床医学および関連領域の研究者と統計学者の共同で,より実際に即した解析法を開発することを目的として本研究会と組織することを提案するものである。


平成1年12月9日に統数研内において「臨床時系列データ解析法の開発に関する研究」の研究会が開催された。まず河合が現代医学界における臨床検査の重要性と時系列データ処理法確立の必要性などについて論じた。ついで長谷川らは,老化の総合診断と個体の経時推移および運動負荷による循環動態時系列変動の自動解析について報告した。土井は臨床検査値の経時変化を個体の正常値という面から検査しその解釈の難しさを示した。今泉らはランダムノイズを生体に外から与えることによって,個体の動特性を推定する方法について論じた。辻は指尖プレチスモグラフによる生体ゆらぎの検討を自己回帰モデル(AR)を用いて行なった。松岡らはARを用いた健康人および糖尿病患者における血液グルコースとインスリンのフィードバック解析について報告した。鈴木もARによる解析を用いて,ミトコンドリア病の腎症を一般的なネフローゼ症例と比較した。松尾らは低クロール性代謝性アルカローシス,高クロール性代謝性アシドーシスのデータをARにより解析し,血漿クロールと重炭酸の因果関係について論じた。磯らはリウマチ疾患患者の免疫ネットワーク解析におけるARの利用についてのべた。黒田は透析患者におけるイムノグロブリン制御の異常についてARを用いた解析を行なった。栗田らはコンパートメントモデルを拡張したモデルを用いて肝循環の解析を行なう新しい方法を開発した。和田はARによるフィードバック解析法の利用にあたっていかなる問題点が存在するかについて論じた。最後に駒沢が時系列解析法全般についての教育講演を行なって会を終了した。終始,総合的な解析法の開発を中心として活発な討論が行なわれ,極めて有意義な会であった。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

井沢 泰

(有)ネットワーク

石神 達三

SRL

磯 武信

前橋日赤病院

伊庭 幸人

統計数理研究所

今泉 勉

九州大学

黒田 重臣

国立大蔵病院

駒澤 勉

統計数理研究所

鈴木 洋通

慶應義塾大学

高瀬 守一朗

慶應義塾大学

高橋 康郎

東京都・神経科学総合研究所

谷口 興一

東京医科歯科大学

田村 義保

統計数理研究所

辻 和男

東京慈恵会医科大学

土井 陸雄

横浜市立大学

長谷川 元治

東邦大学

花田 耕一

滋賀医科大学

樋渡 正夫

東北大学

町田 勝彦

東京慈恵会医科大学

松尾 宣武

慶應義塾大学

松岡 瑛

兵庫医科大学

丸茂 文昭

東京医科歯科大学

和田 孝雄

稲城市立病院