平成81996)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

8−共研−117

専門分類

8

研究課題名

言語の文法構造のデータの統計解析

フリガナ

代表者氏名

ウエダ スミエ

上田 澄江

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

予測制御研究系

職  名

助手

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

130言語の語順表から世界の言語を分類すると,概ね2つのパラメータが分類を規定していることがわかった.19項目にわたる語順の特徴が,2パラメータでほぼ説明されることの背後にある複数の項目間の相関と,その必然性について言語学的な立場から考察する.19項目の語順をランダムに並べることによって文章を形成して言語構造の変遷について考察する.


日本語、英語、タイ語は3つの典型的な語順をもつ言語とみることができる.主成分分析の第1、第2主成分における3言語の外接円の内部にほぼすべての言語が分布し、多くの言語は3言語をとりまくように分布する.あたかも不安定な状態から安定への過渡期にあるかのようである.
19項目の語順規則のうちの「名詞と側置詞」、「名詞と数詞」の順序、「疑問詞」の位置が3言語を分つ項目であり、この語順規則を介して上述の3言語が3つ巴の関係にある.これらを成熟した言語とみなせば、ハンガリー語、ペルシャ語、中国語はいまだどこへいこうとしているか不明の言語として捉えることができる.
語順データのランダム生成モデル、言語の消滅モデルのシミュレーション、言語の変遷過程を成熟度への方向性を考慮したモデルとして捉えることを試みている.
角田太作による19項目の「世界の130言語の語順表」は語順による言語の分類において大変に興味深いものである.オーストラリア原住民語の語順、その他の詳細な文法規則についての資料を整理し、まとめることを試みている.


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

上田澄江,伊藤栄明,語順規則による言語の分類と2パラメータモデル,応用統計学会,
1996.4.26
上田澄江,伊藤栄明,語順規則による言語の2パラメータモデル,日本統計学会,
1996.9.9

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

研究内容:個々の言語の語順の統計的な変化について考察する.隣接する語順の異なる言語の分布図から言語地図の変遷について考察する.オーストラリアにおける言語の資料を整理・分析する. 共同研究の必要性:語順表に当てはめた数値が言語学の立場から妥当なものであるかどうかについて議論する.統計的分析結果によってえられた2パラメータモデルが言語学的立場からも説明されうるのか,実際の言語の分布とどう関連するのかについて議論する.


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

伊藤 栄明

統計数理研究所

角田 太作

東京大学