平成172005)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

17−共研−2041

専門分類

7

研究課題名

照葉樹林のギャップ動態と樹木更新を抽出できる野外調査法と統計解析

フリガナ

代表者氏名

マナベ トオル

真鍋 徹

ローマ字

Manabe Tohru

所属機関

北九州市立自然史・歴史博物館

所属部局

自然史課

職  名

学芸員

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

7 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

【研究の目的】
 本研究は、多様な群集構造を持つパッチ(小斑)の集合体である天然林を、従来のように複数の
パッチを含む林分の構造・動態パラメータから評価するのではなく、個々のパッチを正確に抽出し、
パッチごとの樹木群集の構造・動態パラメータを評価することによって、天然林の構造・動態をよ
り正確に把握することを目的とした。
【研究の成果(経過)】
 前年度までに、長崎県対馬市龍良山山麓部の照葉樹天然林に設置されている4haの長期生態調査
地において、過去約40年間の林分空中写真から林冠層の動態を読み取り、特徴的なパッチを抽出
し、その中の植生調査を完了させ、そのデータ解析を進めていた。本年度は、まず各パッチにおけ
るギャップの形成過程を明らかにするため、5月にパッチ内の倒木計測を行った。その結果、空中
写真から抽出されたバッチの多くで、過去40年にわたるギャップ形成要因が識別でき、異なる複
数年代の空中写真を用いたパッチ抽出法は、十分に正確かつ客観的あると判断した。また、各パッ
チ内において、ギャップは大型落枝、1本の倒木、連続的な複数本の倒木など、いくつもの異なる
要因によって形成されたことも明らかになった。また、7月と11月にも、補足的野外調査を行った。
 7月と11月に、赤池のベイズ型情報量基準を用いたデータ解析結果をひとつの柱に、論文にまと
めるための研究会議を統数研で開いた。そこでの議論を基に1月に森林のパッチモザイク構造に関
する論文を Journal of Ecology に投稿し、3月には第52回日本生態学会大会で発表を行った。論
文は2月に最初の審査結果が返送され、2?3月にその対応策について検討を交わした。
 さらに、最初の測量から2年を経たため、各パッチ内の樹高1.3m以上の個体について追跡調査
を行い、動態に関するデータを蓄積させた。
 一方、前年度末に、モニタリングデータを用いた死亡率解析論文をOIKOSに投稿していたが、
内容が生態誌としては数学的であったため却下され、代わって Ecological and Environmental
Statistics に投稿し直した。最初の審査結果が1月に返送され、大幅修正加筆のうえ、3月、
再投稿した。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

【論 文】
Shimatani K.,Kawarasaki S.and Manabe T.Describing size-related mortality and size
distribution by nonparametric estimation and model selection using Akaike Bayesian
Information Criterion.(投稿中)
Manabe T.,Shimatani K.,Kawarasaki S.,Aikawa S.and Yamamoto S.The patch mosaic of an
old-growth warm-temperate forest:patch-level descriptions of 40-years gapping processes
and community structures.(投稿中)
【学会発表】
真鍋徹・河原崎里子・相川真一・島谷健一郎。森林のパッチモザイク構造と過去40年の
ギャップ履歴。第53回日本生態学会大会2006年3月新潟。
島谷健一郎・河原崎里子・真鍋徹 サイズ依存死亡率や成長率を滑らかに推定する。種
生物学会2005年12月 東京

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

相川 真一

茨城大学

荒木 希和子

北海道大学

河原崎 里子

成蹊大学

島谷 健一郎

統計数理研究所

中村 康則

株式会社 緑化技研

林 真子

福井県南越農林総合事務所