平成192007)年度 重点型研究実施報告書

 

課題番号

19−共研−4202

分野分類

統計数理研究所内分野分類

f

主要研究分野分類

2

研究課題名

乱数生成法とその検定の研究

重点テーマ

統計科学における乱数

フリガナ

代表者氏名

ヤグチ ヒロタケ

谷口 礼偉

ローマ字

Yaguchi Hirotake

所属機関

三重大学

所属部局

教育学部情報教育課程

職  名

教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

220千円

研究参加者数

4 人

 

研究目的と成果(経過)の概要

最近のスーパーコンピュータは大規模並列型が主流になりつつあるが、擬似乱数を発生させる手法は、単一計算機での使用を念頭に開発されたアルゴリズムがそのまま使用されているのが現状であり、並列計算機の特徴(並列度が上がればそれだけ同一計算が速くなる)を生かし切れているとは言い難い。本研究の目標は、(1)乱数の並列生成を可能にするような非再帰的(=k番目の乱数を直接生成する)乱数生成法の構築ならびに並列計算機上への実装、ならびに(2)得られた非再帰的乱数生成アルゴリズムを、情報セキュリティ分野への応用として、暗号用乱数の生成、ハッシュ関数などに発展利用することである。また基礎的な研究目標として(3) 整数のベキ乗を繰り返したときに現れる先頭桁の数字の分布を調べている。
目標(1)については、従来から研究が進められてきたカオス写像を利用した擬似乱数生成法SSR(実数シフト法)のアルゴリズムを、64ビット整数の乗算とシフトで実現し、非再帰型擬似乱数生成法SSI32として確立した。SSI32の乱数特性はNISTの検定、TestU01などで検証されており、これらの成果は、SSRアルゴリズムの数理的な考察を含めて[1]で発表された。SSI32のソースコードは現在[2]にあるが、最終的には統計数理研究所のソフトウェアライブラリに移せればと考えている。
目標(2)については、準備的研究がSSIアルゴリズムに基づく160ビット長ハッシュ関数について為されているが [3]、本年度は512ビット、1024ビット長を持つハッシュ関数について、NISTの検定、TestU01などで乱数特性を調べた。また、暗号用乱数への応用を図るため、SSIアルゴリズムを再帰的に使って乱数を得る方法について基礎的な研究を行った[4]。
目標(3)については、コンピュータ計算による数値実験とその理論的考察を[5]で行なった。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

[1] H. Yaguchi and I. Kubo: A new nonrecursive pseudorandom number generator based on chaos mappings.
Monte Carlo Methods Appl. Vol. 14 No. 1 (2008), 87-102. (掲載予定)

[2] http://math1.edu.mie-u.ac.jp/~yaguchi/

[3] 谷口礼偉、上田澄江、高嶋惠三:「新しいハッシュ関数SSI160の構築」ISM Research Memorandum No. 986 2006年3月.

[4] 谷口礼偉: カオス写像に基づく再帰的および非再帰的な擬似乱数の生成. エルゴード理論と測度論的数論, 慶応大(横浜市), 2007年12月.

[5] 高嶋惠三・小谷真美:「 ベキ乗の先頭桁の数字について」岡山理科大学紀要 第42号(2007) A 7-11.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

上田 澄江

統計数理研究所

高嶋 恵三

岡山理科大学

田村 義保

統計数理研究所