平成182006)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

18−共研−2008

専門分類

1

研究課題名

乱数生成法とその検定の研究

フリガナ

代表者氏名

ヤグチ ヒロタケ

谷口 礼偉

ローマ字

Yaguchi Hitotake

所属機関

三重大学

所属部局

教育学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

50千円

旅 費

120千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

本研究は、最近のコンピュータに適した擬似乱数の生成法および乱数の検定法の研究である。
最近のスーパーコンピュータは、本研究所のismaltx,ismxcに見られるようにクラスター型の並列計算機が多い。また並列度の拡大も、「半端」なものではなくなってきている。これらに対し、擬似乱数の生成法は単一の計算機の時代に開発されたものが多く、並列計算機の特徴、すなわち、計算の並列度をあげれば同じ計算がそれだけ速くなる、を生かしきれているとは言い難い。従来の擬似乱数生成法は再帰的な手法(その時点までに生成した乱数データを利用して次の乱数を生成する)によるため、並列計算可能なアルゴリズムに改良するにはかなりの困難を伴う。そのため、本研究では従来の方法とは異なって、k番目の乱数を直接生成することにより並列計算を可能にするというアプローチで、非再帰的な擬似乱数の生成について研究を行っている。
昨年度までの研究では、数値計算における桁落ち誤差の発生メカニズムを利用して、非再帰的な擬似乱数生成法(SSR法)を構築し、またその乱数特性の改良法を考案した。また、SSR法のアルゴリズムを、多倍長整数計算を行うことにより、長い桁数をもつ乱数値の生成法に発展させて、ハッシュ関数SSI160を構築した。
本年度は、SSR法の完全整数演算化を中心にして研究を行った。すなわち、SSR法は浮動小数点演算を使用するが、浮動小数点計算は計算機のCPU依存性が強いため、時たま、計算機により発生する乱数値が微妙に異なるという現象が発生する。この問題の解決のため、SSR法のアルゴリズムを生かしながら、実行速度を落とさずに整数演算により非再帰的に乱数を生成する方法を研究した。その結果、基本的に64ビット整数の乗算とシフトにより具現化する方法(SSI法)を考案した。この成果はMCQMC 2006 で発表された。SSI法については、今後さらに乱数特性の検証を重ねて行く予定である。
長い桁数を持つ乱数の生成法については、今年度は、512ビットおよび1024ビットの長さを持つハッシュ関数について基本的な研究を行った。512ビット長のハッシュ関数については、ランダムウォーク検定およびNISTの検定を行った結果では良好な値を得ている。1024ビット長のハッシュ関数については現在乱数特性を採取中である。また、整数の冪乗を繰り返したときに、先頭桁に現れる数字の分布についての研究を行っている。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

論文

[1] 高嶋惠三・小谷真美 「ベキ乗の先頭桁の数字について」 岡山理科大学紀要 
第42号(2007) A 7−11


学会・研究集会発表

[1] Kubo, I., Yaguchi, H. : A new nonrecursive pseudorandom number generator based on chaos
mappings. MCQMC 2006. 2006.8.
[2] 高嶋 恵三 ・小谷真美 「ベキ乗の先頭桁の数字の計算機実験について」 2006年12月
 研究集会「エルゴード理論の展望」
[3] 谷口礼偉 「64ビット整数の乗算とシフトによる非再帰的な擬似乱数の生成」 2007年3月
 日本数学会 一般講演

ホームページ

[1] http://math1.edu.mie-u.ac.jp/~yaguchi/aboutSSI32.pdf

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

上田 澄江

統計数理研究所

高嶋 恵三

岡山理科大学