平成232011)年度 一般研究1実施報告書

 

課題番号

23−共研−1002

分野分類

統計数理研究所内分野分類

a

主要研究分野分類

3

研究課題名

症候サーベイランスにおける統計解析手法の研究

フリガナ

代表者氏名

タカハシ クニヒコ

高橋 邦彦

ローマ字

Takahashi Kunihiko

所属機関

国立保健医療科学院

所属部局

政策技術評価研究部・健康危機管理研究部

職  名

主任研究官

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

 本研究は最近世界的に注目されている症候サーベイランスに関連し,その統計解析法についての研究である.特にその解析として中心的に用いられる「集積性の検定」という対象イベントがある地域に集積して起こっているかどうかを検討する際に有用となる統計的検定手法について検討を行った.実際に米国では集積性の検定によるサーベイランスが行われている.そこで本研究課題では,申請者らが開発した平面における検定手法の拡張を含め,サーベイランスに適用するための時間要素を含めた検定手法の開発を行い,さらに米国で用いられている手法などとの比較のための評価についても検討を行うことを目的とした.さらに,精度よい同定のため統計量の改良, シミュレーション評価, 理論的評価を行い,また実データの解析などについても検討を行った.
 今年度は,申請者らが提案し,最近,ニューヨーク市保健局でも実用化の検討が始まった集積性の検定法"flexible scan法"の改良として,より計算速度の改善を行えるrestricted likelihood ratioに基づく統計量を用いたものを提案し,その検出の性能について検討を行った。その結果,従来のものよりも精度よくかつ高速に集積地を検出できることを確かめた。また,実際の適用について,難病(特定疾患)の地域比較のために,医療受給者の地域集積について検討を行い,疾患ごとの地域性について明らかにすることができた。さらに時間集積性への適用として,心肺機能停止傷病者の救急搬送件数について検討を行い,その発生が全国的に特異的に高くなる時期を検出することができた。これらの結果を今後,臨床の専門家などに提供し,より詳細な検討の研究につながるものと考える。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

・丹後俊郎, 高橋邦彦. On a flexible scan statistic with a restricted likelihood ratio. 2011年度日本計量生物学会年会, 大阪大学, 2011年6月2日-3日.

・Tango T and Takahashi K. FleXScan with a restricted likelihood ratio: a spatial scan statistic for irregularly shaped clusters. 32nd Annual Conference of the International Society for Clinical Biostatistics, August 21--25, 2011, Ottawa, Canada.

・高橋邦彦, 土井由利子, 横山徹爾, 金谷泰宏, FleXScanによる疾病集積性の検出〜特定疾患(難病)の地域比較への適用〜.2011年度統計関連学会連合大会企画セッション「医学データの分類と判別」.九州大学, 2011年9月6日.

・高橋邦彦, 武村真治, 金谷泰宏, 齋藤大蔵.わが国における年間の心肺停止傷病者救急搬送件数の時間的集積性の検出.第70回日本公衆衛生学会総会,秋田市, 2011年10月20日.

・高橋邦彦, 横山徹爾, 金谷泰宏, 土井由利子. 特定疾患(難病)医療受給者証所持者数の地域比較. 第22回日本疫学会学術総会, 東京都, 2012年1月28日.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

開催していない

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

丹後 俊郎

医学統計学研究センター

山岡 和枝

帝京大学大学院