平成クオ1989)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

クオ−共研−45

専門分類

5

研究課題名

雑音解析の理論と応用

フリガナ

代表者氏名

マツナワ タダシ

松縄 規

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

統計基礎研究系

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

観測対象の系のいくつかの代表的な状態量のゆらぎ信号を測定し,これを利用することにより系の動的機構を調べなければならないことが理工系の応用分野に於てしばしば起る。この様な状況に対して,統計的モデルを立て,雑音源や応答関数などのシステム構造をできる限り合理的な解析法により信頼性の高い推定を行うことを研究し,原子炉の雑音解析等についてへの応用も検討する。


本研究は観測対象のいくつかの代表的な状態量のゆらぎ信号を測定し,これらを利用して系の動的特性および機構を調べるための雑音解析の方法を考察する事を目的とした。もし既知の知識が十分にあり,確かであるならば,物理モデルを作成し,統計量を計算し,推定値と比較する事によって最もよく一致するモデルを探す方法が有効であろう。しかし実際にはこの様な場合は稀である。そこで時系列モデルのあてはめによって,雑音源や応答関数などのシステム構造を推定する現実的な方法を取るのが妥当であろう。この場合できる限り合理的な解析法によって信頼度の高い推定を行う必要がある。また,システム構造に関する情報が喪失することなしに抽出できる事が望ましい。
本研究では,上述の事柄を踏えて,システム構造に関する情報が多次元自己回帰(MAR)モデルのあてはめによって抽出される過程を理論的に考察した。緩和過程の推定に注目することと,モデルパラメータの計算に有効なアルゴリズムを利用できることからMARに議論を限定した。系は線形定常過程とし,雑音源と応答関数を用いて表現される物理過程に,フィルタリング操作を含めた測定過程を加えたものを取上げ,次の諸項目について研究を行なった。
1.MARモデルを物理過程と測定過程の特性量によって導出。
2.MAR表現を周波数領域からの接近により求める。
3.両モデルの内容が一致するための条件を検討,MAR解析による情報伝達を研究した。
4.雑音解析のベンチマークテスト等について理論を適用し,原子炉データの処理,数値計算などの可能性を探った。
本研究を通じて,統計と工学の研究者の交流が非常に有意義である事を再認識できた。異なった視点から問題を扱っていても,本質的な点で両者が密接に関連している事が分り,大いに参考になった。
本年度は基礎的な研究打合せ段階であったが今後更に研究を継続してより具体的な問題を取り上げ成果を得たいと考えている。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

1.森島信弘(1989):線形定常過程の多次元自己回帰モデル解析による情報伝達
(Unpublished Report;大阪大学工学会)
2.松縄規(1990):Information and Entropy
(Revised Version,Unpublished Memorandum)


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

1.システム構造に関する情報を多次元回帰モデルのあてはめによって抽出される過程を理論的に考察する。
2.MARモデルを物理過程と測定過程の特性量を用いて導出する。
3.MAR表現を周波数領域からのアプローチにより求める。
4.両モデルの内容が一致するための条件の検討,MAR解析による情報伝達を考究する。
5.原子炉の雑音解析のベンチマークテスト等について理論を適用し,必要なデータ処理,数値計算を行う。
以上の内容は統計の手法なしでは接近できないものであり,本研究所の共同研究のテーマとしてふさわしいと考える。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

柏木 宣久

統計数理研究所

森島 信弘

京都大学