平成262014)年度 一般研究1実施報告書

 

課題番号

26−共研−1011

分野分類

統計数理研究所内分野分類

d

主要研究分野分類

3

研究課題名

乳がん死亡動向の年齢・時代・世代分析

フリガナ

代表者氏名

ナカムラ タカシ

中村 隆

ローマ字

Nakamura Takashi

所属機関

統計数理研究所

所属部局

データ科学研究系

職  名

教授

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

乳がんの罹患は近年女性がんにおいてどの年齢階級においても急激に増加しており、部位別でもっとも多いがんである。一方死亡は、2000年あたりまではすべての年齢階級で増加傾向にあったのが、2000年以降、50歳代後半以上の年齢においては増加傾向が続いているのに対し、55歳未満においては顕著な減少傾向にある。

がん死亡のアウトカムには、がん罹患の動向だけでなく罹患後のがん治療による延命による遅延が関係するため、がん死亡に対する年齢・時代・世代効果の解釈が複雑なものとなる。また、乳がんの閉経前乳がんと閉経後乳がんのように、罹患のリスク要因や治療法が異なるがんが混在しているがんにおいては、年齢と時代の交互作用効果を考慮した分析モデルで検討しても、乳がん死亡の分析結果に何がどのように反映されるのかが明らかであるとはいえない。

そこで本研究では、がん罹患の年齢・時代・世代効果について種々のパタンを持たせ、さらに治療効果の変化による遅延を考慮したデータセットを作成し、がん死亡のコウホート分析を行った場合に、どのような結果となって現れるのかを検討することを目的とした。

乳がん罹患率・死亡率のコウホート分析を行い、先行研究からの治療効果に関する知見から遅延の変化を設定し、死亡のコウホート分析において交互作用効果を考慮した場合としない場合で結果がどう変化するのか等を検討した。また、閉経前後の罹患と死亡について、データセットを分けて分析した場合にどのように結果が変化するのか比較も行った。罹患の増減を仮定した場合や治療の改善効果を仮定した場合(生存率の増加)などを仮定したデータセットを作成し、これらがどのように分析結果に影響するのかを明らかにするシミュレーションモデルを作成中である。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

【学会発表】
[1] Matsuda Tomohiro, Matsuda Ayako, Saika Kumiko, Shibata Akiko, Katanoda Kota, Tomotaka Sobue, Nishimoto Hiroshi (2014). Cancer prevalence in Japan from 2008 to 2029. 36th International Association of Cancer Registries Conference, Ottawa, Canada.

[2] Ishikawa Yoshiki, Saika Kumiko, Saito Hiroshi (2012). Tailored intervention to increase breast cancer screening among non-adherent populations: a randomized controlled trial. 8th International Asian Conference of Cancer Screening, Bali, Indonesia.

【その他】
[1] 雑賀公美子, 味木和喜子 (2013). 第2章 乳がん放射線療法のための基礎知識 1 乳がんの疫学. チームで取り組む乳がん放射線療法, 第2章, 13-15. メディカル教育研究社.

[2] 雑賀公美子, 祖父江友孝 (2013). 乳がんの疫学とリスクファクター. からだの科学 乳がんのすべて, 277巻, 10-13. 日本評論社.

[3] 雑賀公美子, 祖父江友孝 (2012). 疫学・予防 OVERVIEW 1. 日本と世界の乳癌罹患および死亡の最新統計. これからの乳癌診療2012〜2013, 第5章, 106-110頁. 金原出版.


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

開催はありませんでした。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

雑賀 公美子

国立がん研究センター 予防・検診研究センター