平成91997)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

9−共研−19

専門分類

1

研究課題名

非可換確率空間における分布の特徴付け

フリガナ

代表者氏名

ヨシダ ヒロアキ

吉田 裕亮

ローマ字

所属機関

お茶の水女子大学

所属部局

理学部

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

6 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

作用環論を用いた確率空間の量子化の理論で最近、自由積を用いた Free Probability Theory が注目されている。本研究ではこの Free Probability Theory に現れる Free Entropy や Freeness 等を用いた非可換確率空間における分布の特徴付けに関する問題を調査研究することを主たる目的とする。


作用素環上で展開される非可換確率論と呼ばれる分野がある。本研究は、自由積の概念を用いた、独立に代る概念 freeness による確率論 Free Probability Theory に関するものであり、特にこの Free Probability Space における分布の特徴付け問題について研究を行った。
Free Probability Space においては半円分布が通常の確率論での Gauss 分布の役割を果たす。この昨年度の半円分布の特徴付けに関する問題を研究を発展させ、これから誘導されるカイ2乗分布の Free 版に関する研究を中心に今年度は行なった。
特に、Free のカイ2乗分布が自然な Free analogue であること (Cochran の定理の Free 版が成り立つ) や通常の確率論で非心カイ2乗分布から Gauss 分布の特徴付けが出来たのと同様に Free のカイ2乗分布から半円分布の特徴付けが可能であることが得られた。
さらに Free 複合 Poisson 分布の考察も始め、この方面への拡張が今後の課題として挙げられる。
これらの結果に関してはいくつかの研究会で発表し、学術雑誌への投稿も行い、掲載予定となった。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Hiwatashi, Kuroda, Nagisa, Yoshida
The free analogue of noncentral chi-square distributions and symmetric quadratic forms in free random variables, To appear in Math. Zeit., (1998)

Hiwatashi, Kuroda, Nagisa, Yoshida
自由確率変数の分布関数
応用関数解析の研究 京都大学数理解析研究所 研究集会 1997年6月

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

作用素環論を用いた非可換確率空間(確率空間の量子化にあたる)の分野で、自由積を用いたFree Probability Theory が最近注目されている。Winger のランダム行列に現れる半円法則がこの Free Probability Theory では通常の確率空間での Gauss 分布のような働きをする.そして通常の確率空間で与えられている,さまざまな確率分布の特徴付け問題の非可換版を考察することは自然であり,いくつかの結果や方針も申請者達は得ている.このように本研究は確率統計の基礎的研究にあたり,また関連研究者が国内に散在する状況にあり.統計数理研究所の共同研究として研究討議の場をもち,本研究の発展を図たい.


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

市原 亮

奈良工業高等専門学校

岡崎 卓

統計数理研究所

梶原 毅

岡山大学

河上 哲

奈良教育大学

渚 勝

千葉大学