平成クオ1989)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

クオ−共研−48

専門分類

5

研究課題名

点の配置に関する統計的手法の流体力学への応用

フリガナ

代表者氏名

タカギ リュウジ

高木 隆司

ローマ字

所属機関

東京農工大学

所属部局

一般教育部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

渦点集合の動力学などの流体力学の問題に対して,点の配置に関する統計学の手法を適用し,新らたな知見を得るとともに,統計学の応用範囲を広げることを目的とする。特に,直線上の渦の配置は,昭和63年度の共同研究の継続として研究する。その他,球面上の点の配置,乱雑信号からの秩序構造の抽出等の問題について,流体力学への応用を試みる。


本研究は,昭和63年度に認可された同課題名の共同研究の継続であり,本年度で完成させたものである。取り扱った問題は,2つの速度の異なる流体間に生じる渦の列について,その間隔分布を統計的に処理することである。
数値シミュレーションで求めた,1000個の渦が合併していく過程において,渦の間に働く実効的なポテンシャルを,丈度法を用いて推定し,それが理論的に予測される対数型ポテンシャルとどの程度近いかを吟味した。
丈度法においては,〓に比列するsoft core potentialを仮定し,数値シミュレーションの結果を最もよく再現するものとしてn=2が選ばれた。実は,この結果は前年度も予想されていたが,本年丈度法の1次元点分布に対する基礎的なアルゴリズムをより精密に整備して,計算しなおした。なお,指数関数と対数関数から成るvery soft coreポテンシャルについても試みたが,soft coreのn=2の場合の方がより丈度が高かった。
これらの結果から,渦の列は,非常に軟かいポテンシャルに支配されて,合併しながら成長を続けていることがわかった。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

上記「研究目的」の欄で述べたように,統計学と流体力学の両方の手法を結合させることを目的にしているので,共同研究として実施する必要がある。具体的には,数値的に求められた渦点の配置に対して統計学における夭度解析の手法を適用して渦点どうしの実効的なポテンシャルを推定する。昨年度の共同研究により,ポテンシャルはSoft Coreで指数が−2のものが最適であったが,さらに,他の可能性も検討する必要がある。球面上の点の配置は,球形液滴の基準振動,等物理学の問題に関係している。乱雑信号の処理は,流体力学においても重要であり,乱流の流速信号の解釈に関連している。このように,統計学の手法は,他の分野の問題に応用される可能性がまだ多く残されている。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

尾形 良彦

統計数理研究所

種村 正美

統計数理研究所