平成81996)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

8−共研−59

専門分類

6

研究課題名

統計的モデリングの方法による反射法3次元地震探査記録のノイズ解析の研究

フリガナ

代表者氏名

オカダ ヒロシ

岡田 広

ローマ字

所属機関

北海道大学

所属部局

大学院理学研究科

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

反射法地震探査の重要課題「難地域への反射法適用に関する諸問題」に関わる基礎実験で得られた多点平面格子状アレイによる記録と地下の鉛直断面上による記録を組み合わせて解析することで、反射法地震探査の受振点近傍で発生する散乱性波動場の性質を解明し、これを分離・除去する技術を開発する。


近年、石油・天然ガスなどの反射法地震探査は難地域で行われることが多い。難地域に反射法を適用すると、多くの場合、表面波や散乱波等のノイズが卓越し、肝心の反射波はたいてい識別が難しい。
このような問題解決のための基礎実験として、一テストフィールドで、i)地表で平面的に地震計を18m間隔で10行10列及び8m間隔で12行12列に配置した正方形アレ ーと、ii)東西測線長580mに20m間隔で30ヶ所にそれぞれ地下垂直断面、深さ0, 3, 6, 12.5,25, 50mの所に埋設した地震計で、それぞれ異なる21ヶ所でのダイナマイト震源、20ヶ所でのバイブレータ震源からの地震動を観測した。
今回主に、ii)のデータについて、測線延長上東西、各1600mと1700mの震源からの受振記録を解析した。複雑な記録から表面波の検出や散乱性波動場の特徴を把握するために、これらのデータに、wavelet transform法、2次元 frequency-wavenumber spectrum 法、slowness-frequency stack 法等を適用して解析した。
結果として、一応非定常な波の解析に適しているという wavelet transform 法により12.5m以深での記録にはもちろん、オリジナル記録では全く見られなかった6m以浅の記録にも周波数約8Hzの反射phaseが明瞭に現われるという効果が得られた。また、slowness-frequency stack 法によっては,12.5m以深のオリジナル記録上位相の対応の良い波は、ほとんど分散しない実体波としての特徴を持つことが明らかにされた。しかしこの波は、i)のデータ解析で判明した地下構造のlateral heterogeneity による反射の可能性がある。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

村山隆平・中神康一・凌甦群・岡田広、格子状受振点展開を用いた3次元コヒーレントノイズの観測、物理探査、49巻・5号、372-386、1996年10月


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

難地域での反射法では、反射波が表面波や散乱波のノイズに埋もれる厄介な問題が起こる。その解決への基礎実験として、一テストフィールドで  i)地表で平面的に地震計を配置した格子展開アレイと ii)地下の鉛直断面(深さ=0m, 3m, 6m, 12.5m, 25m, 50m)上に配置した埋設地震計で人工地震波を観測した。今回、上記の i)とii)のデータを組み合わせて解析する。これらの記録では、反射波はいずれも優勢な表面波や散乱波のノイズに埋もれて識別困難である。観測記録からのノイズ除去と反射波検出には、従来の「周波数・波数スペクトル法」は分解能や精度の点で適当でない。これに代わる統計的モデリングの方法を必要と考える。それには統計数理研究所と北海道大学との共同研究が必要である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

北川 源四郎

統計数理研究所

高波 鐵夫

北海道大学

Ling Su Qun

コスモコンサルティング システム株式会社