平成51993)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

5−共研−1

専門分類

1

研究課題名

統計的予測問題の尤度解析に関する基礎的研究

フリガナ

代表者氏名

クボキ ヒサタカ

久保木 久孝

ローマ字

所属機関

電気通信大学

所属部局

電気通信学部

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

近年、統計的予測においても、推定論における尤度に相当する“予測尤度”という概念が定義され、それに基づく新しい一般論の展開が期待されている。研究代表者は、予測尤度を利用し経験ベイズ的なアイディアで予測分布を構成する方法を提唱し論じてきた。本研究では、予測尤度概念とベイズ原理や頻度原理との接点を探り、その方法をさらに発展させることを目的とする。


統計的予測においても、モデル構築の便宜上、パラメータを含むいわゆるパラメトリックモデルを想定することが多い。しかし本来の解析目的は、観測対象の将来の実現値であり、仮に導入したパラメータではない。この仮のパラメータをどう処理するかが、統計的予測論の大きなテーマの一つである。
簡便な方法として、パラメータをデータから推定し、その値が真であるものとしてモデルを確定し、予測を行うことが考えられる。しかしこの方法には、モデルを厳格に規定してしまうことから来る、予測性能の悪さという欠陥がある。そこで最近では、モデルにある意味の柔軟性を持たせて予測を行うという考え方が中心になって来ている。そのような方法論の代表がベイズ予測法であるが、近年注目を集めているのは、予測尤度法とサンプルリューズ法(ブートストラップ法)である。
本研究の代表者も、この分野の研究にこの数年取り組んできた。そして一つの方法論を提唱した。その概要は以下の通りである。1)パラメトリックブートストラップ法で、観測できない変数値の出現確率に関する事前情報を集める。2)観測データを用い、この事前情報を予測尤度を改善し、推測分布を構成する。3)この推測分布を使い、予測分布を構成する。4)数値実験では、このようにして得られる予測分布は、従来の方法で作られる予測分布と比べて、良い予測結果を与える。5)以上の方法は、Jeffreysの事前情報を用いるベイズ予測法と、密接に関係している。
この成果は学術誌に掲載された。現在、この方法論をさらに改良発展させることをめざしている。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Hisataka Kuboki,Inferential Distributions for Non-Bayesian Predictive Fit,Ann. Inst. StatistMath.,Vol.45,No.3,pp.567-578,1993

久保木久孝,予測尤度とベイズ予測,日本統計学会,平成5年7月
久保木久孝,統計的予測論の最近の動向,科研費シンポジウム,平成5年12月
久保木久孝,統計的予測(尤度・ベイズ・サンプルリューズ法)と(統計・情報理論的)モデル選択,同上,平成6年1月

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

統計的予測論においては、ベイズ的方法論が主流であり、かなり有効であると言われている。事実、統計数理研究所においては、それを利用したモデリング論が盛んに研究されており、ベイズ的な考え方の有効事例が数多く集積されている。
本研究を遂行するにあたっては、そのような立場で研究を行っている研究者との議論が極めて有意義であると考えており、統計数理研究所との共同研究を申請する次第である。
具体的には、予測尤度法・(経験)ベイズ法・ブートストラップ法などで解析的または数値的に予測分布を構成し、それら諸方法の有効性をシミュレーション等で比較検討する。そして、予測尤度法の長所や短所を明らかにする作業を通し、われわれの理論を改良し発展させることをめざす。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

柏木 宣久

統計数理研究所