平成132001)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

13−共研−2062

専門分類

9

研究課題名

再生可能な資源管理に関する経済モデルの開発

フリガナ

代表者氏名

テイ ヤクグン

鄭 躍軍

ローマ字

Zheng Yuejun

所属機関

統計数理研究所

所属部局

領域統計研究系

職  名

助手

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

6 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

再生可能な資源管理に関する経済モデルの開発
研究代表者 統計数理研究所/総合研究大学院大学 鄭 躍軍
研究目的
 再生可能な資源に関する研究の最重要な成果は、最適化モデルを利用して計画期間に
わたって地代の現在価値を最大にするように資源を管理する場合のみ、その資源の持続
可能性が実現できることを明らかにしたことである。ところで、再生可能な資源管理に
とって最も煩わしい問題の一つは、政策の転換による資源利用側の構造変化を予測する
手法の未熟さである。尚かつ、再生可能な資源に関わる産業の働きをよく理解するため
には、資源利用者、政策制定者ならびに資源そのものの振る舞いをより一層正確に把握
し、基本的な概念から分析的な見識を見いだす必要がある。
 平成12年度の共同研究では代表的な再生可能な資源である森林を取り上げて、統計学
的手法に基づき、再生可能な資源管理に関する動的モデルの構築を試みた。しかしなが
ら、森林は複雑な天然資源として木材という価値を提供するほかに、環境資源としてア
メニティの供給、生物多様性の保存、炭素の貯蔵、水資源保全などの非木材価値をも有
している。したがって、このような働きをモデルに如何に取り入れるかという検討が不
可欠である。
 そこで、平成13年度の共同研究では、木材生産からの収益最大化と非木材価値のレン
ジとのトレード・オフという意思決定問題をモデルとしてとらえ、非木材価値をも配慮
する政策のシナリオが森林の経営管理にどのような影響をもたらすかを分析する方法
の構築を中心に研究してきた。特にこれまでに提案された森林や魚類などの再生可能な
資源経済学に関する理論的および実証的研究成果から新たな知見を得ることを念頭に
置き、開発しようとした経済モデルに必要な性質を考案した。そして木材生産だけを
目標とした商業的な林業経済理論や多目的利用を視野に入れた社会環境学などの観点
から、再生可能な資源利用の構造変化を予測する新たな経済モデルのフレームワークの
構築を駆使した。
本年度の研究成果(経過)
 本年度は、再生可能な資源の研究対象として森林を挙げ、その多面的機能を総合的に
管理する経済モデルの構築を中心に研究を展開した。
 まず、長年木材生産を目的とした伝統的な森林経営研究によって蓄積された有用なデ
ータに、環境に関わるデータを調査またインタビューによる補完を行った。また、以上
のデータの取得にあたっては、統計学者、林学者および環境経済学の共同作業によっ
て方法論的・解析的な検討を行い、相互の専門知識の発展をはかってきた。
 そして、データ解析を遂行した結果に基づき、様々な可能性に対応でき、資源利用
構造の変化を予測する最適化モデルのパラメータに対して、各種可能なシナリオを想定
し、合わせて外的要因の変化によるモデルの感度分析を重ね、構築した最適化モデルに
関する総合的な評価を行った。最終的には、再生可能な資源管理に関する政策立案の重
要な参考になるような再生可能な資源の管理モデルの構築を模索してきた。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

ZHENG Yuejun,XIAO Xiangming,GUO Zhongwei and HOWARD E.Theodore.(2001):A County-level
Analysis of the Spatial Distribution of Forest Resources in China.J.of For.
Planning.Vol.7(2):69-78.
GUO Zhongwei,XIAO Xiangming and ZHENG Yuejun(2001):Ecosystem functions,Services
and Their Values-A Case Study in Xingshan County of China.Ecological Economics
Vol.38:141-154.
ZHENG Yuejun_(2001):Analysis on China's actual situation of land use and preservation
of ecological environment,Proc.of International Symposium on Eco-environmental
Conservation and 21st Century's Forestry Management:81,Xian,China.
鄭 躍軍(2001):再生なるか日本の林業?森林の保全と「森林経営」?,SCIENTIA,No.12:2-5.
鄭 躍軍(2002):NOAA/AVHRR データの解析による土地利用・被覆分布に関する考察,応用統
計学(印刷中)。

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

天野 正博

森林総合研究所

岡 裕泰

森林総合研究所

久保山 裕史

森林総合研究所

高橋 正義

森林総合研究所

林 文

東洋英和女学院大学