平成41992)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

4−共研−62

専門分類

7

研究課題名

Ecological Bias と因果推論

フリガナ

代表者氏名

サトウ トシヤ

佐藤 俊哉

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

領域統計研究系

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

Ecological Stiduesから相対リスクを推定する際に問題となるバイアスについて、個人のレベルの因果モデルを用いた見直しを行い、バイアスの方向や大きさについての理論的な検討を行うとともに、わが国の市区町村別データを用いて実際にどの程度のバイアスが起こり得るのか、その評価を行う。


本年度は、Ecological Biasに関する最近の文献検索を中心に研究を行った。Ecological Biasの理論的な研究を精力的に行っているUCLAのSander Greenland教授が1992年11月に来日されたので、彼とコンタクトをとり、その結果いくつかの未発表論文も手に入れることができた。
最近の研究の結果から、Ecological Studiesでは個人レベルのデータを用いるコホート研究やケース・コントロール研究とは違ったメカニズムでバイアスが起きることが分かってきた。例えば、交絡はないが効果の修飾はある場合コホート研究などでは相対リスクの推定にバイアスは入らないが、Ecological Studiesではバイアスが入る。
また、曝露に誤分類がある場合、コホート研究などでは効果を薄める方向(相対リスクが1に近づく)にバイアスがかかるが、Ecological Studiesでは逆に効果を強める方向にバイアスがかかる。
1992年11月12日には、UCLAのSander Greenland教授にHierarchical Modelling for Epidemiologic Analysisというテーマで研究講演をお願いした。当日は15名の参加者があり、MLEとEmpirical-Bayes推定量との比較、Subject Matter KnowledgeにもとづくPriorの入れ方などが議論された。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

疾病とリスク要因との因果関係を調べる場合、様々な地域ごとに疾病発生率とリスク要因の保有割合の相関関係を調べたり相対リスクを調べることがまず最初に行われる。このような地域ごとにまとめられたデータを用いた研究をEcological Studiesと呼び、推定された相対リスクにはバイアスがあることは古くから知られている。しかし、そのバイアスが起きる理由、バイアスの方向、大きさなどについてはほとんど理解されていない。
そこで本研究では、個人レベルでの因果モデルにもとづいて、その積み重ねとして地域データをとらえ、バイアスが起きる理由、方向、大きさについて理論的な評価を行う。また、実際のデータを用いてわが国の肺癌と大気汚染の関連を調べる場合、Ecological Studyではどの程度のバイアスが起こるのかを調べる。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

中井 里史

横浜国立大学

新田 裕史

国立環境研究所

本田 純久

長崎大学