平成21990)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

2−共研−63

専門分類

7

研究課題名

身長の成長模型に関する研究とその応用

フリガナ

代表者氏名

ショウホウジ タカオ

正法地 孝雄

ローマ字

所属機関

広島大学

所属部局

総合科学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

5 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

各種成長異常(小人症,巨人症など)を早期に検出し,治療を効果的に行うためにより適切な成長模型が必要である。これに基づく健常成長域を設定して成長異常の早期発見を臨床的に行い易い形,すなわち,ヒトの成長予測を手軽に行えるようなシステムを構築する。ヒトの成長の特徴づけを統計学的には繰り返し測定のない非線型回帰問題としてとらえることができ,成長曲線の特性点や非線型模型での逆回帰問題の統計学的性質を研究する。


前年度に引き続いて経年的な成長記録の収集を継続的に行った。これまでに得られた身長の成長の資料の一部分を現在投稿中の報告書の附録として磁気媒体などで公開する予定である。
ヒトの誕生から成人までの成長を特徴づけ得る我々の提案した成長模型を身長および体重の成長に個別に適用し成長パターンの類型化を試みた。
成長曲線の成長母数並びに特性点などを各対象標本単位に求め各個体の成長の特徴づけを行った。
(1)出生時の体重,(2)体重の成長という観点からの思春期発現時の体重および体重増加量,(3)身長の成長という観点からの思春期発現時年令などを基に平均成長曲線の比較を行った。
結果として次の様なことが得られた。
(a)出生時の体重の大きい子供は身長,体重ともに平均として大きく,出生時の体重の小さい者は身長や体重が成人になっても小さい。なお,成長速度曲線に対しては顕著な差は見られない。
(b)成人での身長体重は思春期発現時体重に対して(a)と同じ傾向が得られた。思春期発現時体重が増加するに従って,身長に対する成長速度曲線の最大成長量は減少し,発現時年齢は増加している。しかし,体重の成長速度曲線に対しては最大成長量は身長とは反対の傾向があった。
成長予測を行うに当り,経験的ベイズ流手法を用いて6才児までの成長記録を用いて成人までの成長予測を行う方法を確立した。他のあてはまりが良いといわれている成長模型との比較・検討を模型のあてはまりの程度などを用いて行った。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

・Individual Growth of Height and Weight in “Statistical Methods and Data Analysis” edited by N.Niki,Scientist,Inc,pp.1−9,1990.
・On a growth model of human height.Growth,Development and Aging,Vol.54,pp.155−164,1990.
・Aprediction of Individual growth of height according to an empirical Bayeuem apnaels.(投稿中)


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

(1)各個人の成長記録の収集を行い,成長データのデータバンクを作る。
(2)より適切な成長模型を求める。
(3)各個体に対する成長の特徴づけを行い,健常(要注意,異常)成長帯を設定する。
(4)経験的ベイズの手法等を活用して成長予測を行う。
(5)成長模型に対する逆回帰問題の統計学的性質を明確にする。
以上の研究開発を推進するに当に貴研究所のスタッフからの助言,助力並びに貴研究所の計算機の利用が有用である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

奥野 忠一

東京理科大学

金藤 浩司

統計数理研究所

駒澤 勉

統計数理研究所

隅谷 孝洋

広島大学