平成101998)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

10−共研−105

専門分類

3

研究課題名

ニューラルネットワークによる経済・金融データの分析

フリガナ

代表者氏名

ナカノ ジュンジ

中野 純司

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

統計計算開発センター

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

経済・金融システムは、近年ますます複雑化をみせており、その分析・予測も困難を極める。これには、従来の対象となるシステムのモデルを特定化し分析するという手法より、システムをブラックボックスとして分析を行うという手法が有用であろう。本研究では、特にその中でもニューラルネットワークの手法により経済・金融データの分析を行う。


経済・金融システムは、近年ますます複雑化をみせており、その分析・予測も困難を極める。これには、従来の対象となるシステムのモデルを特定化し分析するという手法より、システムをブラックボックスとして分析を行うという手法が有用であろう。本研究では、特にその中でもニューラルネットワークの手法により経済・金融データの分析を行う。
対象としては、株価収益率のボラティリティを扱う。株価収益率のボラティリティは、ポートフォリオ理論やリスク測度、オプション価格理論などに用いられ、その分析や予測は非常に有用である。しかし、現実にはボラティリティを観測することはできないので、ここでは代替的に絶対株価収益率を分析することでボラティリティの分析を行う。
具体的には、まず日経平均採用銘柄の絶対株価収益率に対し、数種の非線形検定を行う。つぎに、ニューラルネットワークによりモデル化を行い、ARモデルなど他のモデルによる予測結果に対して比較・検討を行った。
分析結果としては、非線形性の検定についていえば、日経平均採用銘柄のほとんどは何らかの非線形性がみとめられた。よって、非線形モデルによるモデル化が妥当であり、実際に予測については、非線形モデルによるほうが優れている場合が多かった。だが、すべての銘柄やサンプルにおいて、他のモデルより優れているモデルは存在しなかった。しかし、ニューラルネットワークモデルは他のモデルと同等もしくは優れているいる場合が多く、絶対株価収益率に対する有用なモデルのひとつであるといえる結果であった。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

藤原丈史、ニューラルネットワークによる経済・金融データの分析、一橋大学経済学研究科
修士論文。1999年3月

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

実施計画としては、株式市場に着目し、一般的なフィードフォワード、リカレントニューラルネットワークを用いて、まずは株価指数、次に業種別株価、個別銘柄などの株価データに対し、従来の時形列分析などと比較しながら分析・予測を行う。さらに、発展段階として、比較的新しいカオス・ニューラルネットワークや多出力ニューラルネットワークを用いた分析も行っていく。このような分析には、コンピュータの使用が必要不可欠であり、計算量も莫大となることから、その能力も非常に高いものが必要とされる。一橋大学においては、このような設備はかなり貧弱であり、さらには、ニューラルネットワークに関する、書籍・論文等も皆無という状態である。よって、本共同研究の必要性は非常に高いものといえる。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

藤原 丈史

一橋大学大学院

山本 拓

一橋大学