平成212009)年度 共同利用登録実施報告書

 

課題番号

21−共研−7

分野分類

統計数理研究所内分野分類

g

主要研究分野分類

1

研究課題名

 逐次解析問題,ノンパラメトリック関数推定問題

フリガナ

代表者氏名

イソガイ エイイチ

磯貝 英一

ローマ字

ISOGAI EIICHI

所属機関

新潟大学

所属部局

自然科学系・理学部

職  名

教授

 

 

研究目的と成果の概要

 未知な位置母数と尺度母数をもつ指数分布において,位置母数の区間推定問題を考える.任意に与えられた区間幅と信頼係数をもつ信頼区間を構成するとき,最小の標本の大きさには未知な尺度母数が含まれるため,実際にはこの最適な標本数を利用することができない.また,標本の大きさを固定した場合,与えられた条件を満たす信頼区間は構成できないことが知られている.そこで,先行研究で提案されている修正二段階法を用いてこの問題を解決する.本研究では,尺度母数の下界が既知であるという仮定の下で,修正二段階法を用いて信頼区間を構成し,この信頼区間が与えられた条件を満たすという一致性を示した.さらに,区間幅が十分小さいとき,修正二段階法における平均標本数と最適な標本数の差の3次の漸近展開を与え,被覆確率の高次の漸近展開も導出した.これらの結果は京都大学数理解析研究所講究録 (2010年)に掲載予定である.
未知な位置母数と尺度母数をもつ2つの指数分布(未知な母数はすべて異なっていてもよい)において,2つの位置母数の1次結合の有界リスク点推定問題を考える.損失関数として2乗誤差を考え,その損失関数の平均をリスクとする.リスクが任意に与えられた誤差以下になるように最小の標本数を用いて推定したい.推定量を与えたとき,誤差が十分小さいときの漸近的に最適な標本数には未知な母数が含まれてしまうので実際には利用できない.そこで,純逐次法を提案して逐次推定量を定義する.このとき,与えられた誤差が十分小さいときのリスクの3次の漸近展開を与えた.また,平均標本数の2次の漸近展開も導出した.特に,位置母数の差の推定に関して,特有の純逐次法を提案し,一般の1次結合における純逐次法と比較した場合,平均標本数を格段に減らすことができるという結果を得た.この結果はJournal of Statistical Planning and Inference (2010)に掲載予定である.