平成172005)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

17−共研−2031

専門分類

6

研究課題名

GPSデータを用いた電離圏・プラズマ圏電子密度トモグラフィー(2)

フリガナ

代表者氏名

ウエノ ゲンタ

上野 玄太

ローマ字

Ueno Genta

所属機関

統計数理研究所

所属部局

モデリング研究系

職  名

助手

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

GPS受信機の2周波電波の観測データから得られる視線方向の電子数積分値を用いて、高度100kmから20,000kmまでの電離圏・プラズマ圏の電子密度3次元分布の推定を行う事を目的としている。
衛星を用いた測位システムであるGPSは2周波の電波を使用しており、その2周波電波の地球電離大気による遅延時間の差を用いて、電波の伝搬経路上の電子密度の総数を測定する事が出来る。そのような経路上の電子密度の積分値をTEC(Total Electron Content)と呼ぶが、近年のGPS受信機網の急速な発展により、大量のTECデータが得られている。特に日本には世界に類を見ない高密度のGPS受信機網(GEONET)が国土地理院によって展開され、そのデータからのTECの算出が京都大学によって進められている。これらのデータは積分値であるため、GPS軌道高度の20,000kmから地上までの経路上のどの領域がTECに寄与しているかを推定するにはトモグラフィーによる3次元電子密度分布の推定を行う必要がある。このような電子密度分布の推定によって、観測データが非常に限られている超高層域の物理現象の解明に寄与できる。
 平成17年度においては電離圏・プラズマ圏電子密度トモグラフィーについて、実際の観測データを用いた開発を行った。アルゴリズムは平成16年度の共同利用研究に開発した拘束付き最小自乗法を用いたアルゴリズムである。悪条件下でも有効な解が求められる様に拘束条件を設定しているが、その条件の選択の基準としてABICを用いている。使用した観測データは国土地理院GPS受信機網GEONET、京都大学生存圏研究所MUレーダー、情報通信研究機構アイオノゾンデ網から得られる地上観測データである。それぞれのデータをトモグラフィー・アルゴリズムに取り込み3次元電子密度の推定を行い、その結果をまた、トモグラフィーには用いなかった地上観測データと比較し、推定値の評価を行った。その結果昼間、夜間を問わず十分妥当な解が得られている事が示された。この結果は現在論文にまとめている。GPS受信機データについては、受信機・送信機内部の2周波間のずれによる装置起因のバイアスがあるが、そのバイアスも推定するアルゴリズムと、そのバイアスは既知として扱うアルゴリズムの2つのアルゴリズムを開発した。
 平成18年度には、このトモグラフィーを様々な状況に適用し、その妥当性の評価を行うと同時に、アルゴリズムの高速化、他の領域への応用も進める予定である。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

地球惑星科学関連学会合同大会, 2005年5月24日, 千葉
GPS観測データを用いた電離圏電子密度トモグラフィ・アルゴリズムの開発(2)
寺石周平、齊藤昭則、上野玄太

地球電磁気・地球惑星圏学会第118回講演会, 2005年9月30日, 京都
GPS観測データを用いた電離圏電子密度トモグラフィ・アルゴリズムの開発(3)
寺石周平、齊藤昭則、上野玄太 、山本衛

中間圏・熱圏・電離圏研究会, 2005年11月6日, 豊川
GPS観測データを用いた電離圏電子密度トモグラフィ・アルゴリズムの開発(4)
寺石周平、齊藤昭則、上野玄太 、山本衛

大気圏シンポジウム, 2006年2月24日, 相模原
GPS観測データを用いた電離圏電子密度トモグラフィ・アルゴリズムの開発
寺石周平、齊藤昭則、上野玄太 、山本衛

Saito, A., S. Fukao, and S. Miyazaki, High resolution mapping of TEC perturbations with the GSI GPS network over Japan, Geophys. Res. Let., 25, 3079-3082, 1998.

Saito, A., M. Nishimura, M. Yamamoto, S. Fukao, T. Tsugawa, Y. Otsuka, S. Miyazaki, and M. C. Kelley, Observations of traveling ionospheric disturbances and 3-m scale irregularities in the nighttime F-region ionosphere with the MU radar and a GPS network, Earth Planets and Space, 54, 45-56, 2002.

GPS全電子数データベース:http://stegps.kugi.kyoto-u.ac.jp

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

該当なし

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

齊藤 昭則

京都大学

寺石 周平

京都大学