平成142002)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

14−共研−2029

専門分類

6

研究課題名

極微小地震の規模別頻度分布と月齢との相関

フリガナ

代表者氏名

イワタ タカキ

岩田 貴樹

ローマ字

Takaki Iwata

所属機関

防災科学技術研究所

所属部局

固体地球研究部門

職  名

特別研究員

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

地震の大きさ、即ちマグニチュードに対する頻度分布はb値と呼ばれるパラメータ
によって特徴付けられる。このb値は地震が起きている場の応力の大きさと相関を持
つことが岩石実験の結果などから指摘されている(例えばScholz,1968,BSSA,
pp399)。しかし、実際の地震に対しては、その地震が発生する場の応力を測定また
は推定することは困難なため、応力とb値の相関に関してはよく分かっていない。こ
れに対する1つのアプローチとして、月齢とb値との相関を調べることを考える。
地球潮汐と呼ばれる太陽・月の引力が地球に与える応力変化の大きさは、月齢に応じ
て周期的に変化する。このことから、応力の絶対値そのものは分からなくとも、月齢
とb値の時間変化の相関を見ることで、応力とb値の関係について調べることが出来
る。
 平成13年度の共同利用研究において、カナダのUnderground Research Laboratory
の地下坑道周辺で観測された極微小地震の発生時系列と月齢との間に有意な相関を見
い出した。このことから、このデータに対して、b値に関しても有意な相関が得られ
ることを期待し、以下のような解析を行った。
 まず、地震発生の時刻を月齢に対応する位相角へと変換する。位相角の定義は、あ
る満月(または新月)の時刻を0、次の新月(または満月)の時刻を360として、
その間の時刻を線形に角度に割り振ったものとする。そして、このデータに対し、以
下の2つのモデルを考える。(モデル1)位相角に関係なくb値を一定とするもの、
(モデル2)位相角に応じて、地震のデータを幾つかのグループに分け、各グループ
ごとにb値を求めるもの、である。b値は最尤法を用いて計算し、この計算から同時
に得られる最小尤度を元に、AICも求め、相関の有無を判断する。もし、b値が統計
的に有意に月齢と相関を持っていれば、モデル2の方がモデル1より適合がよくな
る、即ちモデル2のAICの値がモデル1のそれより有意に小さくなる筈である。
 結果として、モデル1のAICに比べモデル2のAICが有意に小さいことが示され、
地震の規模別頻度分布と月齢との間に相関があることが分かった。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

・Iwata,T.,Tidal stress/strain and acoustic emission activity at the Underground Research Laboratory,Canada,
Geophysical Research Letters,29,10.1029/2001GL014277,2002.
・Iwata,T.,and Young,R.P.,Seismic triggering investigations at the Underground Research Laboratory:Liverpool
University Final Report,55pp,University of Liverpool,2002.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

尾形 良彦

統計数理研究所

David Vere-Jones

School of Mathematics and Computing Sciences