平成71995)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

7−共研−48

専門分類

6

研究課題名

大規模波形解析による地球内部構造の推定

フリガナ

代表者氏名

ゲラー ロバート ジェイ

Geller Robert, J.

ローマ字

所属機関

東京大学

所属部局

大学院理学系研究科

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

6 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

本研究では大量の観測地震波形記録を波形インバージョンにより解析し、地球内部構造(地震波速度、密度の3次元的な分布)の推定を行ない、その統計的な評価を行なう。


本研究の目的は,広帯域地震波形データを用いて高解像度かつ高精度の3次元地球内部構造(地震波速度及び減衰構造)モデルを推定することである.我々は以前,表面波の波形データを用いた逐次的な上部マントル速度構造推定を世界で初めて行なった.より詳細なモデルを推定するためにはより短周期の波形(長周期実体波)を含む広帯域地震波形データを用いる必要があり,順問題(理論波形計算)の計算精度および効率を改善することが必要不可欠である.
本年度は高精度の理論波形計算手法の開発と,これを用いた理論波形計算ソフトウェアの開発を行なった.本年度の研究により,広帯域地震波形データを用いた高精度の内部構造推定が現実的なものとなった.以下に今年度の成果を列挙する.
我々はこれまでの内部構造研究をレビューし,今後の内部構造研究の進展のためには,より高精度の理論波形計算が必要不可欠であることを示した(原とゲラー 1996).新しい離散化手法を開発し,計算時間を増やさずに理論波形計算の精度を約30倍改善できることを示した(Geller & Takeuchi 1995).またこの手法を球座標のP-SV問題に応用し,今後のデータ解析に用いるための効率的な理論波形計算ソフトウェアを開発した.これにより高精度の20-5000sのP-SVの理論波形計算が10分(SPARC-20)で可能になった(Takeuchi et al. 1996).我々は今後,これらの成果を踏まえて内部構造推定を行なう予定である.


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Geller, R. J., and N. Takeuchi, A new method for computing highly accurate DSM synthetic seismograms, Geophys. J. Int., 123, 449-470, 1995.
原 辰彦,R.ゲラー,波形インバージョン,地学雑誌, 104, 972-983, 1995
Takeuchi, N., and R. J. Geller, Highly accurate P-SV complete synthetic seismograms using modified DSM operators, Geophys. Res. Lett., in press, 1996.

Geller, R. J. and N. Takeuchi, A new method for computing highly accurate synthetic seismograms, SEG/SEGJ International Symposium,'95.11.9.
竹内とゲラー,物理探査学会,'95.6.14;
竹内とゲラー,日本地震学会,'95.9.28.;
羽鳥とゲラー,日本地震学会,'95.9.29;
竹内とゲラー,地球惑星科学関連学会,'96.3.27;
羽鳥とゲラー,地球惑星科学関連学会,'96.3.27.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

研究代表者のゲラーは理論地震波形計算の専門家であり、本研究の実施に必要な波形計算の理論及びソフトウェアの開発を行なってきた。本研究ではこの成果に基づき、世界各地に展開されたグローバル地震観測網の広帯域地震波形記録の解析を行ない、地球内部3次元構造の推定を行なう。この推定問題は大量のデータを扱う非線形逆問題であり、統計数理研究所と共同研究を行なうことにより、円滑かつ効率的に研究を進めることができる。具体的には、大規模計算を効率的に行なうアルゴリズム、非線形問題の解法、モデルの統計的な評価方法などの開発を行なう。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

大湊 隆雄

地質調査所

末次 大輔

建築研究所

竹内 希

東京大学大学院

田辺 國士

統計数理研究所

羽鳥 友彦

東京大学大学院