平成15（2003）年度　一般研究２実施報告書

課題番号	15−共研−2015			専門分類		2
研究課題名	次世代統計システムJaspの開発
フリガナ 代表者氏名	コバヤシ　イクノリ 小林　郁典			ローマ字		Kobayashi Ikunori
所属機関	徳島文理大学
所属部局	工学部
職　　名	講師
所在地
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配分経費	研究費	0千円	旅　費		0千円		研究参加者数	5　人

研究目的と成果（経過）の概要

われわれの研究の目的は,これまで研究されてきた計算機統計学の成果と近年のコンピュータ技術の
成果を導入した新しいタイプの統計システムを開発し,計算機統計学の実践のためのより優れた環境を
提供することである。このために,われわれは,Java言語を開発言語とした汎用統計解析システムJasp
(Java based Statistical Processor)を開発している。Jaspは,Java言語の持つ多言語にない特徴をい
かして,従来の統計解析システムにはない様々な機能を利用者に提供する。
　平成15年度の研究では,次に挙げる目標
(1)代表的なデータマイニング機能の実装
(2)並列計算の記述に関する設計と実装
(3)基本データ構造の拡張
(4)データ視覚化のための機能拡張
を掲げ,これらについて重点的に活動を進めてきた。
　(1)については,Wekaというデータマイニングツールのライブラリを利用して,Jaspにクラスタリン
グのための手法,連関規則を発見するための手法,分類・数値予測のための手法を実装した。これによ
り,統計解析とデータマイニングを同じシステム上で対話的に行うことが可能にすることができた。(2)
については,Jaspの利用者が必要最小限の命令で並列計算を利用できるような仕組みをJaspに導入し
た。併せて,この機能による数値計算の高速化の実験も行った。(3)については,Jasp上でカテゴリカル
データや欠測値を体系的に扱えるようにするために新規にデータ構造を設計し,実装を行った。この拡
張に伴う言語処理系の改良も行った。(4)については,JaspにFEDF plotやtracking grand tour plotなど
の高機能グラフを実装することができた。
　われわれは,これらの研究・開発についていくつかの成果を報告することができたが,今後も引き続
き開発を進める必要があると認識している。開発したシステムは,インターネット上において無料で公
開している。URLについては次ページを参照してほしい。

当該研究に関する情報源（論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等）

●　論文
(1)Extensibilities of a Java-based Statistical System,Journal of the Japanese Society of Computational
Statistics,Vol.15,No.2,pp.183-192(2003)
(2)Adding visualization functions of DAVIS to Jasp:Mixing two Java-based statistical systems,
Computational Statistics,Vol.19,No.1,pp.137-146(2004)
●　学会発表
(1)Improving a Java-based statistical system,The 54th Session of The International Statistical Institute,
Berlin,Germany 2003/8/19,Bulletin of the International Statistical Institute,54th Session,Contributed
Papers Book 2,pp.129-130(2003)
(2)統計解析システムJaspのデータマイニング機能の実装,日本計算機統計学会第17回大会論文集,
pp.65-68(2003)
(3)統計システムにおける並列分散処理機能の利用,2003年度統計関連学会連合大会,2003年度統計関
連学会講演報告集,pp.166-167(2003)
(4)統計解析言語のインタプリタとその実装,2003年度統計関連学会連合大会,2003年度統計関連学会
講演報告集,pp.168-169(2003)
(5)Parallel computing in Statistics:Review,Workshop on Modern statistical visualization and related
topics(1),統計数理研究所(2003)
(6)Data mining functions in Jasp,Workshop on Modern statistical visualization and related topics(1),統
計数理研究所(2003)
(7)Recent advances in Jasp system,International conference on recent researches on statistical
computing,Seoul,Korea(2003)
(8)Some aspects of recent Jasp system,Workshop on Modern statistical visualization and related
topics(2),統計数理研究所(2003)
(9)統計解析システムJaspにおける並列処理機能,統計数理研究所プロジェクト研究「統計科学情報の
高度利用」,pp.55-64(2004)
●　ホームページ
http://jasp.ism.ac.jp/

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

研究参加者一覧
氏名	所属機関
中野　純司	統計数理研究所
許　文烈	成均館大学（韓国）
藤原　丈史	青山学院大学
山本　由和	徳島文理大学