昭和631988)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

63−共研−104

専門分類

7

研究課題名

歯および歯列に関する統計学的研究

フリガナ

代表者氏名

ミウラ フジオ

三浦 不二夫

ローマ字

所属機関

東京医科歯科大学

所属部局

職  名

名誉教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

8 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

調和のとれた咬合の確立をめざす歯科矯正学において,咬合を形づくる重要な要素として歯およびそれらの集合した歯列がある。これらの要素の相互関連性を統計学的に分析し,不正咬合の診断や治療に対し有効な指針を与えることを本研究の目的とする。


調和のとれた咬合の確立をめざす歯科矯正学において,咬合を形づくる重要な要素として歯およびそれらの集合した歯列がある。これらの要素の相互関連性を統計学的に分析し,不正咬合の診断や治療に対し,有効な指針を与えることを目的とし,62年度にひきつづき,東京医科歯科大学歯学部矯正科所蔵の顎態模型上の14歯について検討を行った。
歯列内における個々の歯の大きさ(歯冠近遠心幅径値)の相互関連性をみるため,重回帰分析法で,前回,目的変数とした第2大臼歯および側方歯群(犬歯,第1小臼歯,第2小臼歯)に加え,中切歯,側切歯,第1大臼歯の計14歯について,それぞれを目的変数と設定し,他の歯を説明変数とした場合の分析を行った。結果は,予測値と実際の値とのずれは,±0.4mm〜±0.9mm程度であった。また,これらの14歯のうちで,ずれの大きかったものは,上顎側切歯と上顎第2大臼歯があげられた。
これらの歯は,一般的に退化傾向が強いとされるものであり,臨床上その形態や大きさの変異が著しいもので,先天性欠如歯の多く現われる歯種である。
なお,不正咬合の種類(上顎前突,下顎前突,等)によっても層別を行い,同様の分析を行ったが大きな違いはなかった。
次に,これら14歯について,主成分分析を行った結果,第1主成分には個々の歯の大きさの要素が,第2主成分には前歯群の大きさの要素がそれぞれ抽出された。
この様な結果から,安定した咬合を形づくる個々の歯の大きさは,相互に複雑に関連しあって変異に豊んだものとなっていることがわかる。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

(学会誌発表)
歯冠近遠心幅径値の分布型について
−第II報 大標本に基づく検討−
飯田忠夫,相馬邦道,三浦不二夫,杉山高一
口腔病学会雑誌第56巻第1号
平成元年3月31日発行


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

62年度は,歯の大きさ(歯冠近遠心幅径値)について,東京医科歯科大学歯学部矯正科所蔵の顎態模型414人分のデータを基に主に重回帰分析を中心に検討を行ってきた。その結果歯列内における個々の歯の大きさの間に統計学的にも矯正学的にも興味深い相互関連性が確認された。このことより,交換期にある末萠出永久歯の大きさが予測出来,臨床上にも有用であることがわかった。
これらのことから,63年度は欠測値のある顎態模型のデータも追加して,データ数をさらに増やし,不正咬合の種類によっても層別をし,個々の歯の大きさが咬合状態の形成に如何に関与しているかを大型計算機を用いて統計学的に検討する所存である。それにより,矯正臨床における不正咬合者の診断や治療目標の設定および咬合の育成や誘導に有効な指針を与えることが可能となるものと考える。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

青木 美穂

東京医科歯科大学

飯田 忠夫

飯田矯正歯科医院

小西 貞則

九州大学

杉浦 成昭

筑波大学

杉山 高一

中央大学

鈴木 義一郎

統計数理研究所

相馬 邦道

東京医科歯科大学