平成71995)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

7−共研−47

専門分類

6

研究課題名

松代群列地震観測システムの統計的手法による震源決定法の改良

フリガナ

代表者氏名

フルタデ トモミチ

古舘 友通

ローマ字

所属機関

気象庁地震火山部

所属部局

精密地震観測室

職  名

研究官

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

11 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

松代群列地震観測システムで決定された震源にみられる広域の観測網による震源との系統的なずれ及び読み取り誤差に起因するばらつきを正しく評価し、震源の補正と震源決定誤差を求める。統計的手法により波形データの読み取りを含めた、群列地震観測システムのための新しい震源決定法を開発する。


長野市松代町にある気象庁地震火山部地震津波監視課精密地震観測室の群列地震観測システム(MSAS)は、半径 5km ほどの円周上および中心の計7地点に地震計を置き、テレメータにより松代にデータを集約して地震波を観測するシステムである。このシステムにより松代周辺はもちろん、世界の広域的な地震の震源を決めることができるが、MSAS で決定された震央は、より広範囲なデータを用いて決定した気象庁(JMA)や米国地質調査所(USGS)の震央と比較してずれがみられる。この原因としては、P波やS波の不明瞭さによる到着時刻の読み取り誤差に基づくランダム(uniased)なものと、地震波の伝播経路の速度構造の不均質性に基づく系統的(biased)なものが考えられる。
本研究の目標は松代観測点の位置を原点として、北方向から角度が始まる極座標を考え、MSAS によって推定された震央と真の震央の系統的な偏差の関数を求め、将来の MSAS 震央から震央の補正写像をつくり、実際に近い震央を予測することである。データが多量であるため、上記の補正写像はかなり複雑であり、多くのパラメータを必要とする。このため写像がある程度滑らかであると仮定する。
上記の方法で 1984〜1988 年のデータによって推定された補正写像を用いて 1989〜1992 年の MSAS 震央を補正したところ、良好な結果が得られた。また従来精密地震観測室で用いていた線型の震央位置補正法と比較しても、有効な改良がみられた。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

尾形良彦,小林昭夫,三上直也,村田泰章,桂康一
松代群列地震観測システムによる震源の震央位置補正,日本地震学会1995年度秋季大
会,1995年9月27-29日。

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

これまてに、ルーチンで決められた震源に対する補正写像が求められた。しかし、ルーチンの震源決定にはいくつかの問題点があり、また遠地地震については通常の読み取りよりビームフォーミングによる震央方向の推移が精度がよいことなどが判ってきた。これらの点を改善した震源に対して補正写像を求める。また、波形データを使って、より客観的な読み取り方法の検討や深さの推定などを行なう。これらの研究には高度な統計的手法の利用が必要であり、統計数理研究所の協力指導のもとに共同研究を実施するのが効果的である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

青木 元

気象庁

阿部 正雄

気象庁

尾形 良彦

統計数理研究所

柏原 静雄

気象庁

公賀 智行

気象庁

小林 昭夫

気象庁地震火山部

駒木 文保

統計数理研究所

下田 正人

気象庁

高山 博之

気象庁

本間 直樹

気象庁地震火山部