平成51993)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

5−共研−105

専門分類

9

研究課題名

統計学的視点からの特殊毒性試験法の改良の研究

フリガナ

代表者氏名

ヨシムラ イサオ

吉村 功

ローマ字

所属機関

東京理科大学

所属部局

工学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

10 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

環境汚染物質あるいは医薬品の生殖毒性、変異原性、皮膚感作性等の特殊毒性については、どのような試験を行い、そこで得られたデータをどのように解析するのがよいかが、まだ十分には明確になっていない。本研究では、動物愛護と国際的な基準の調和を視野に入れた上で、統計学的視点から特殊毒性試験法の改良の研究を行う。


研究参加者の内、林は小核試験、坂本は変異突然復帰試験、小島はドレイズ目刺激性試験とその代替法、大塚は生殖性試験を分担し、吉村、柳本、大橋、浜田、岸本、大野が統計解析法、統計計算法を分担するという役割分担を基本にし、ほぼ2ヵ月に1回のペースで研究会を開催した。
研究の成果として、(1)ドレイズ目刺激性試験の代替法による予測が寄与率89%程度でできることを示した、(2)エイムズ試験では、試験施設間の違いがかなり大きく、エイムズ連絡会でより細かい試験法の標準化が必要であることが指摘できた、(3)生殖性試験では出生児数を補助変数とした共分散分析の視点が有益であることを明示した、(4)皮膚刺激性試験では弱刺激物質と強刺激物質について動物数の削減が可能であることを示した、(5)肺転移モデル系動物での抗ガン剤の効力指標モデルを提案した、(6)染色体異常試験である物質でのラセミ体の影響がR体とS体についてロジットモデルで説明できること、(7)小核試験の設計には背景データの利用が大きな影響を与えること、などを明らかにすることができた。これらの知見は、現在、それぞれの分野での試験法の標準化に利用されている。
なお討論には、芳賀敏郎(東京理科大学)、吉中亮治(現武田薬品)、佐野正樹(大鵬薬品)、小川佳輝(現小川電工)、牧野健一(東京大学)、清水哲夫(愛知赤十字血液センター)、遠藤壮平(日本大学)、長谷文雄(日本ルセル)、角元慶二(大塚製薬)の諸氏も参加し有益な示唆を行った。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

吉村功、前臨床試験の統計学的側面、日本統計学会誌、22.3.1993.9.
Yoshimura,I.& Matumoto,K.,Notes on the use of historical controls, Environmental Health Perspectives,102,Suppl.1,1994.1.

小島肇他、ドレイズ目刺激性試験の統計解析、日本毒科学会、1994.6.10.
聳城豊他、皮膚刺激性試験における動物数の削減について、日本香粧品学会、1994.6.9.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

具体的には、残酷性を問われているドレイズ試験がどのような試験法で代替できるかの性能評価、生殖毒性試験における同腹効果の処理法の標準化、比較毒性試験におけるデータ解析法の検討、in−vitro変異原性試験におけるプレート数や観測細胞数の標準化、を取り上げる。
国立衛生試験所といくつかの企業の毒性試験研究者にデータを提供してもらい、統計家の参加の下に問題点を検討し共同で各種試験法の性能評価を行い、改良の提案を行う。提案を毒性試験の場で試行的に実験し成果を確認する。
作業としては、データの収集、それを事例とするデータ解析法の検討、検討結果のプロトコル化、試行実験、結果の解析などを行う。学際的な共同作業なので、共同利用研究所である統計数理研究所で行うのが最適である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

大塚 芳正

(株)日本ロシュ

大野 満夫

(株)サイエンティスト社

大橋 靖雄

東京大学

岸本 淳司

(株)SASインスチチュートジャパン

小島 肇

(株)メナード化粧品

坂本 豊

武田分析研究所

浜田 知久馬

(株)武田薬品

林 眞

衛生試験所

柳本 武美

統計数理研究所