平成272015)年度 一般研究1実施報告書

 

課題番号

27−共研−1024

分野分類

統計数理研究所内分野分類

h

主要研究分野分類

3

研究課題名

タンパク質電子構造におけるデータマイニング研究

フリガナ

代表者氏名

サトウ フミトシ

佐藤 文俊

ローマ字

Sato Fumitoshi

所属機関

東京大学

所属部局

生産技術研究所

職  名

教授

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

 我々はタンパク質などの巨大分子の電子状態をありのまま計算する量子化学計算プログラムProteinDFの開発を行っている。 本プログラムは、Gauss型基底関数展開に基づく密度汎関数法を採用しており、世界で最も大きなカノニカル全電子波動関数計算を達成したプログラムである。これまでに金属タンパク質であるシトクロムcやインスリン6量体などの全電子計算に成功している。
 タンパク質の電子状態を系統的に求め、タンパク質構造との関連性を探ることは、タンパク質工学の発展に重要な役割を果たすと考えられる。本研究では、量子論に基づくタンパク質電子状態計算の高速化ならびに自動化と、タンパク質特有の構造に注目したデータマイニング技術の開発を目的としている。
 本年度は主に以下の研究開発を行った。
 1.タンパク質全電子計算のハイスループット化・半自動化
 昨今のスパコンを利用しても、タンパク質のカノニカル全電子計算は多くの時間と経験を要する。ProteinDFエンジンのさらなる高速化や構造最適化アルゴリズムの改良を図るとともに、失敗・再計算を少なくした半自動タンパク質全電子計算法の開発を行った。計算エンジンの機能追加として、グリッドフリー法による交換相関項計算を高精度化した。これにより、分散メモリ型並列計算機に有利な第3世代密度汎関数計算法をさらに実用化できる。また、QCLO法をベースとしたタンパク質自動計算プログラムの開発・機能追加を行い、自由なフラグメント分割をサポートし、様々なヘテロ分子に対応できるようになった。
2.タンパク質波動関数データと真電荷のデータマイニング技術の開発
 タンパク質全電子計算から得られる真の静電ポテンシャルから、これを再現する原子電荷の算出法を検討した。定義に基づくESP電荷、RESP電荷の他、線形回帰モデルを用いた原子電荷の算出も行った。これにより、データ量が膨大で解析が困難であった静電ポテンシャルを粗視化することができ、全電子計算により得られる真の電荷分布と構造との相関も明らかにできると期待される。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

【学会発表】
・平野敏行, 佐藤文俊, "自由なフラグメント分割可能な QCLO 法プログラムの開発", 理論化学討論会 (広島).
【ホームページ】
http://satolab.iis.u-tokyo.ac.jp/

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

研究会を開催しなかった。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

王 笛申

東京大学

紀平 昌吾

東京大学

金 泰煥

東京大学

千葉 貢治

東京大学

平野 敏行

東京大学

松田 潤一

東京大学

吉田 洵也

東京大学