平成101998)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

10−共研−36

専門分類

4

研究課題名

自由回答の分析法の研究−ボランティア活動の動機分析を素材として−

フリガナ

代表者氏名

タカクラ セツコ

高倉 節子

ローマ字

所属機関

東京国際大学

所属部局

人間社会学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

意識調査における自由回答など、文章データを、客観的、機械的に分析する必要性は多くなっている。本研究では、「SPAD.T/J(開発コード名)」を適用し、ボランティア活動の動機づけの解析を行い、このような問題の機械的な分析の可能性とその限界を明らかにすると共に、開発中のソフトの改良点を実験的に探索することを目的とする。


ボランティア活動を行う際の動機について、阪神大震災のボランティアに対してのアンケートで、回答のあった198人の自由回答結果について、SPAD.T/J(L.Lebart, 大隅, によって開発されたテキスト型データ解析ソフト)を適用して、分析を試みた。
このソフトは、他のこの種のソフトに比し、高度な統計解析の機能を持っており、自由回答の構成要素(単語や文節)について、対応分析(数量化3類)を適用することによって、回答要素間、回答者間の類似性、相違性を明らかにするものであるが、この適用に先立ち、文章を単語に分解する必要があり、この機能は、未だ整備されていないので、別の日本語形態素解析ソフトを適用したが問題も多く、今後の開発に期待したい。
SPAD.T/J の適用結果では、単語の配置によるクラスタリングから意味を探ることは、困難であったが、回答者との同時配置をみると、専門職の者と学生とは明らかに離れて位置づいており、ボランティア活動への参加の意向も異なることが、語彙のクラスターから想定できた。震災ボランティアの動機の叙述では、語彙が多岐にわたるので、「女性の自立意識の分析」の際のように、類似性によるグルーピングの意味合いを析出することは困難であったとも考えられる。
今後、アフターコーディングからの分析に、代替できるようにするには、単語分解を精緻にすること、SPAD.T/Jを適用する際、予め削除する語(、。等の記号や、助詞など)の選定等を、より丁寧に行う必要があろう。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

高倉節子,Study of some Methods of Analysis of Textual Data in Japanese,
International Federation of Classification Societies,1998年7月24日
村田磨理子*,高倉節子,大隅昇,自由回答の分析?いくつかの事例について?
日本統計学会,1998年7月29日,(*:口頭発表者)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

具体的には、ボランティア活動を行う際の動機について、阪神大震災のボランティアと、通常的に活動を行っている人々との差異を、自由回答による調査結果の分析により、明らかにしていく。この時に、貴研究所教官の開発によるソフト(SPAD.T/J)の適用、ならびに、大型計算機の使用も必要であり、貴研究所との共同研究が是非とも必要である。そして、他の自由回答分析の方法も併せて検討し、単語分析の一層の精緻化を狙い、文章の意味合いの的確な把握のできるような改良を試みていく。研究の進捗にあたって、インターネット環境を活用し、情報交換や、データ共有化等を図る意味でも貴研究所のコンピュータ環境の利用が必須である。そして、ボランティアの動機分析を踏まえ、文章データの機械的処理の可能性から、福祉の分野で、熟練者に託されていた事例研究の普遍化へと迫っていく。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

上松 由紀子

関東学院女子短期大学

大隅 昇

統計数理研究所

村田 磨理子

(財)統計情報研究開発センター