平成81996)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

8−共研−132

専門分類

3

研究課題名

成長ホルモンが小児の成長過程に与える影響の様式

フリガナ

代表者氏名

ノダ ヒロマサ

野田 弘昌

ローマ字

所属機関

社会保険船橋中央病院

所属部局

小児科

職  名

主任部長

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

5 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

乳児の身長の伸び方は,断続的であると報告されているが,未だにその詳細は明らかにされていない。さらに小児の身長の伸びに一定の規則性が存在するか否かに関しても不明の点が多い。これらを究明するために2年間にわたり毎日起床後および就眠前に身長を測定し,それらのデータを時系列解析する。加えて,成長ホルモン治療によってこれらにどのような変化が生じるかを検討する。


小児の身長の伸びは、微視的には直線的ではなく、断続的であると考えられる。実際に乳児での身長の伸びは、断続的であるとの報告がなされている。しかし、小児の身長の伸びに一定の規則性が存在するのか否かは、身長測定の技術的問題や、身長に日内変動が存在するなどの理由により、未だに不明である。
更に、成長ホルモン欠損症患児の成長過程が、成長ホルモン補充治療によってどのように修飾されてゆくのかについても明確にされていない。そこで、2名の成長ホルモン欠損症の幼児を対象として、自動身長計を用いて成長ホルモン治療前後の身長を、起床後と就眠時の1日2回連続的に測定した。
それぞれの測定は、4回連続して行なった。2年間の2名の幼児の身長のデータをプロットすると、身長の伸びの過程には『停滞期』と『活動期』が不定期に、かつ交互に現われ、成長ホルモン治療前には、『停滞期』が多く認められる印象を受ける。
そこで、この現象を統計学的な手法を用いて証明するため、身長を時系列データとして、"DECOMP"その他のプログラムを用いて、種々の成分を抽出して、身長の伸びが時間軸に沿ってどのように変化するのかを解析した。その結果、トレンドには波動が存在し、その波動は、ノイズ成分を除去した後にもAR(auto regulation)過程として分離された。このことは、身長の伸びは乳児期、思春期に大きなピークを示す滑らかな曲線を呈するという従来の定説では説明できない結果である。
現在さらに成長ホルモンの補充治療によりこのAR過程がどのように変化するのかを解析中である。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

2年間にわたり,自動身長計を用いて毎日起床後,および就眠前に測定した2名の小児の身長のデータはすでに保存されて利用可能である。起床後の身長を日ごとにプロットしてみると身長の伸びには“停滞期”と“活動期”が不定期ににかつ交互に認められる。そして成長ホルモン投与前には停滞期が多く認められる。そこで,時系列解析を用いて以下の点について解明したい。第一に,小児の身長の伸び方は,継続的か断続的かを時系列解析を行って検討する。第二に,成長ホルモンの治療によって,伸び率に影響が現れるのか,伸びの頻度が増すことにより身長の伸びが促進されるかを分析する。第三に,身長の伸びは夜間に生じるのか,昼間に生じるのかを起床時と就眠時の身長を比較することにより検討していく。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

大西 尚志

社会保険船橋中央病院

北川 源四郎

統計数理研究所

斎藤 公幸

社会保険船橋中央病院

中島 博徳

千葉大学