平成81996)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

8−共研−125

専門分類

1

研究課題名

因子分析における推定量の漸近的挙動に関する研究

フリガナ

代表者氏名

イハラ マサモリ

猪原 正守

ローマ字

所属機関

大阪電気通信大学

所属部局

情報工学部

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

研究代表者である猪原は,因子分析モデルにおける最尤法と最小2乗法に関する比較実験を通じて,最尤法がもっとも頻繁に不適解をもたらすことを指摘し,その一つの原因が誤差分散の最尤推定量のnegative bias であることを指摘した。一方,柳本教授は,最尤法,条件付き最尤法,経験ベイズ法,モーメント法などの推定方程式に関する理論的考察の中で,最尤法を因子分析モデルに適用するとき,誤差分散を過小評価するであろうことを示唆した。本共同研究では,同教授の指摘を推定量の漸近バイアスの導出と1/n次の係数
の符号判定によって理論的に解明すると同時に,各種推定量との比較をシミュレーション実験によって行うことを目的としている。


因子分析法における独自分散の最尤推定量、最小2乗推定量、Ihara & Kano(1984)の推定量について1/n2項までの漸近バイアスを展開し、その解析的性質を明らかにした。
また、それらの推定量のバイアスに対して、シミュレーション実験によって互いの大きさの比較を行い、最尤推定量のバイアスが不適解の原因として立証できる可能性を得た。今後は、これらを解析的に調べる予定である。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

・猪原 正守、因子分析における独自分散推定量の漸近挙動、日本統計学会「グラフィカ
ルモデリングと多変量解析の理論と応用」研究会、1996,12,11
・猪原 正守、因子分析における因子得点推定量の比較、日本統計学会「グラフィカルモ
デリングと多変量解析の理論と応用」、1997,1,23

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 まず,因子分析モデルにおける誤差分散推定量の漸近バイアスを最尤推定量を含む幾つかの代表的な推定量について導出することを計画している。この際,柳本教授の各種推定方程式と推定量の理論的性質に関するアイディアと洞察を得ることが必要不可欠である。  また,この理論研究と並行して,統計数理研究所に既設された大型計算機を活用することによって,最尤法,最小2乗法,I-k推定
量(Ihara and Kano, Psychometrika, 1985)などに対するバイアス比較実験を行う。この実験では,1)多数の数値モデル,2)正規乱数と各種非正規乱数,および3)複数の標本サイズを取り上げて行うことを計画しており,研究所内の大型計算機が,高速処理演算可能であること,大容量であること,高精度な物理乱数を保有していることなどの面で本シミュレーション実験遂行にとって最も有効な設備である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

柳本 武美

統計数理研究所