平成272015)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

27−共研−2065

分野分類

統計数理研究所内分野分類

g

主要研究分野分類

1

研究課題名

圏論的視点からの量子ベイズ統計理論の研究

フリガナ

代表者氏名

タナカ コウヘイ

田中 康平

ローマ字

Tanaka Kohei

所属機関

信州大学

所属部局

経済学部

職  名

助教

配分経費

研究費

40千円

旅 費

27千円

研究参加者数

3 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

 ベイズ理論の量子版を圏論的に考察するにあたり,まずその基盤となる量子確率論の諸概念を圏論的に捉える作業を行った。特に着目したのは,ベイズ公式の根幹にある条件付きの確率・測度の概念である。条件付き測度の量子版としては,フォン・ノイマン代数における部分代数を用いた「条件付き期待値」が古くより知られているが,我々はその双対的な概念として,代数のイデアル及び商代数を用いた「条件付き測度」を定式化した。また,圏論的な立場から,この概念はゲルファンド対応によって古典的な条件付き測度と対応していることを示し,正当性を主張した。
 また,研究を進めていくうちに,非可換な世界においては,この条件付き測度は従来の条件付き期待値とは全く違う状況が判明してきた。非可換な複素数上の代数を扱う場合,自明な(最小の)部分代数としては係数環の複素数全体を常に含んでいるが,イデアルの場合,極大イデアルによる商としては単純環までしか小さくできない。これはつまり,既約な条件付きの考え方が従来のものと我々のものとで異なること示している。ただし,可換な場合にはどちらも古典的な測度論としての条件付きに対応することが分かっている。
 このイデアルを用いた発想によって,量子確率論及び統計に新しい視点が加わる。例えば,この条件付き測度を用いた量子版のマルチンゲール収束定理は自然な疑問である。現在,統計を専門とする共同研究者と共にこの問題に取り組んでいる。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

学会発表
圏論的視点からの量子確率論
日本数学会秋季総合分科会(京都産業大学) 2015(Sep. 14)

プレプリント
H. Motoyama and K. Tanaka. A categorical approach to quantum Bayes' rule. arXiv:1412.5756

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

特になし

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

元山 斉

青山学院大学