平成242012)年度 共同利用登録実施報告書

 

課題番号

24−共研−4

分野分類

統計数理研究所内分野分類

a

主要研究分野分類

4

研究課題名

多変量状態空間モデリングのための数値的方法

フリガナ

代表者氏名

キタガワ ゲンシロウ

北川 源四郎

ローマ字

Kitagawa Genshiro

所属機関

情報・システム研究機構

所属部局

新領域融合研究センター

職  名

研究員(情報・システム研究機構 機構長)

 

 

研究目的と成果の概要

1.体積ひずみ計データの解析
 体積ひずみ計で観測された時系列データは,地殻ひずみの情報だけでなく,気圧や地球潮汐,降雨などの影響を強く受けて複雑に変動しており,これらの要因の影響を適切に除去することによって初めて,本当の地殻変動を取られることができる.本研究では,季節調整法および地下水位の解析のために開発した時系列モデルを改良し,データ解析を行った.具体的には,Peng教授(中南大学,統数研客員教授)および高波教授(東大地震研客員教授)との共同研究により、2003年十勝沖地震発生時および東海地方に多数設置されたひずみ計データの状態空間モデルの開発・改良を行い、大量のデータ分析を行った。特に十勝沖地震データに関しては、地震発生時のスロースリップとみられる変化を検出することに成功し、その地震学的な意味についても検討を行った。

2.逐次モンテカルロフィルタの数値的性質の研究
 逐次モンテカルロ・フィルターにおいて10億程度までの粒子数を用いたときの、計算精度の変化をシミュレーション実験により調べさまざまな知見を得た。また、逐次モンテカルロフィルタの並列計算について,直接並列化,単純並列フィルタ,交差付きの並列フィルタの3方式を考慮し,計算効率および精度の観点から検討を行った.さらに,2フィルタ公式に基づく固定区間平滑化、リサンプリングに基づくガウス和フィルタ、事後平均平滑化の方法を考案しその数値的な検討を行った。