平成242012)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

24−共研−2037

分野分類

統計数理研究所内分野分類

d

主要研究分野分類

7

研究課題名

離島における第一次産業振興と環境維持を考慮した地域政策モデルの構築

フリガナ

代表者氏名

コノシマ マサシ

木島 真志

ローマ字

Konoshima Masashi

所属機関

琉球大学

所属部局

農学部

職  名

准教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

85千円

研究参加者数

3 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

 今年度は,昨年度行った透視度測定法を用いた赤土流出の定量評価(底質中懸濁物質含有量:SPSS)と周辺の土地利用のメッシュデータ,傾斜のデータをもとに,SPSSを従属変数とし,土地利用形態・地形を独立変数とする多変量解析を行った.
具体的には,まず,GISを用いて,サンゴ礁の被度の高い地域,低い地域の海岸と河口付近を調査地として選出した.そして,GPSを用いて,調査地に行き,海岸の底質を採取し,透視度計により,透視度を測り,それを基にSPSSを算出した.土地利用形態および地形については,GISを用いてサンプル採取箇所の半径1km, 3km, 5kmのバッファをそれぞれ発生させ,それぞれのバッファ内の土地利用形態および地形のデータを抽出した.尚,土地利用形態については,国土数値情報の土地利用細分メッシュデータを,地形については国土地理院の数値地図50mメッシュを用いた.
 解析結果は,SPSSについては,1kmメッシュにおいては,「荒地」「建物用地」「その他(運動競技場,空港,野球場,人口造成地の空き地など)」の影響が強いことが示唆された.また,そのときの「荒地」「その他」の符号は正となり,SPSS値を高めることに強く影響していることが示された.3kmメッシュにおいても同様に「荒地」の影響が強いことが示唆された.5kmに範囲を広げると,「水田」「借農用地」「森林」「荒地」の影響が強いことが示唆された.このように,いずれのバッファサイズにおいても「荒地」がSPSS値を高めることに強い影響力を及ぼしていることが示された.
 また,沖縄の離島において重要な産業になっている自然観光に関して,沖縄島北部大宜味村のター滝においてレクリエーション価値の経済評価を行った.これら沖縄島北部には"ヤンバルの森"をはじめ,豊かな自然が多く残されているが,近年過度な開発や来訪者の増加に伴い環境悪化が懸念されている.そのため,適切な維持管理の必要性が高まっており,自然資源の持つ価値を客観的に評価することが大きな課題となっている.ここで研究の対象としたター滝も現在は,無料で遊べるレクリーエーションの場として多くの来訪者を集めている.しかし,環境悪化もの問題は深刻であるため,今回,トラベルコスト法により,レクリエーションの価値の経済評価を行った.本研究ではゾーントラベルコスト法を採用し,アンケート調査により居住地,交通手段,等の情報を集め,来訪者の往復の移動費用を算出した.アンケート調査は,8月から9月にかけて,ター滝において行った.その結果,総数376件のアンケートの回答があった(有効回答数は261).尚,来訪者には,米国人(軍関係者)も多く含まれるため,アンケート用紙は英語版も作成した.
アンケート調査の結果をとりまとめ,トラベルコスト法によりター滝の経済価値を評価したところ,年間1900万円程度の価値があることが示唆された.これは,入場料や施設利用料の徴収により管理運営されている近隣の自然観光地における年間管理額(1000万-1300万円程度)を上回る額であった.

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

特になし

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

特になし

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

吉本 敦

統計数理研究所

ロッキー フランキー ローリング

鹿児島大学大学院 連合農学研究科 生物生産学専攻