昭和631988)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

63−共研−5

専門分類

1

研究課題名

ランダムな媒質の中の確率過程の研究

フリガナ

代表者氏名

カワヅ キヨシ

河津 清

ローマ字

所属機関

山口大学

所属部局

教育学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

10 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

ランダムな媒質の中のランダム・ウォークは統計学・確率過程論の中での基礎的で重要な部門と考えられます。ランダム・ウォークの新しいタイプの極限定理の研究を得ることを目的とします。特に電子計算機によるシュミレーション等を利用させて頂き,多次元状態空間でのランダム・ウォークの再帰性等の解明が出来ることを期待しています。


昭和63年4月から各自の研究を本テーマに沿って続けていただき,昭和64年1月31日(火)〜2月2日(木)に今年度の研究状況についての研究集会を本研究所に於いて開催させて頂いた。研究集会での講演を中心に報告させて頂く。
(1)1月31日10:00〜12:00河津によって〔0,∞)上の{0}を反射壁とするWiener媒質に於ける拡散過程に関する極限定理。{W(t),t>0}をWiener過程とする。〓とおく。X(t)=X(t,w),X(o)=0を〓をスケール関数,速度測度とする拡散過程とする時次の結果が証明された。


ここでb(1),M(1)の具体的な分布が求められた。又,{b(t),〓}がtime inhomogeneousなLeriy processになっていて,さらにexponent1/2のself−simiclar processになっていることが証明された。
(2)1月31日2:00〜4:00小谷によって(−∞,∞)上のWiener媒質に於ける拡散過程のmaximumの極限定理。
Z(t)=Z(t,w),Z(o)=0を〓,〓をスケール関数,速度測度とする拡散過程((−∞,∞)が状態空間)とするとき〓となることが確率解析の手法で証明された。
(3)2月1日10:00〜12:00田中によって1次元ランダム媒質中の拡散過程に関連した問題が示された。(2)の小谷の結果の別証明について報告があり,さらに次の問題がランダム媒質の問題と関連していることを示した。〓,〓,…をi,t,d,確率変数列とし,〓,〓と定義し,〓,〓,〓,…をwの独立なコピーとする。〓,〓…をつなぎ合わせた離散時間の確率過程をW(n)とすれば,〓は〓をone−step transition ft.とする〔0,∞)上のMankov chainである。但し,〓かつ〓。
(4)2月1日2:00〜3:00志賀によってOrnstein Uhlenbeck typeの確率過程の再帰性の判定条件についての報告。
(5)2月1日3:00〜4:00市原によって二次元格子上のランダム媒質中のrandom walkの再帰性についての問題提起。
(6)2月2日10:00〜12:00高橋によって分枝拡散過程の方程式の爆発問題について最近の状況と報告。
(7)2月2日2:00〜5:00長田によって多次元状態空間上のランダム媒質の中の確率過程について。Anschleuitg−Khanin−Sinai(1982,C.M.P.)が対称な過程について議論をしているのを踏まえてreversibleな過程に対して,subdiffusiveが起っていることの紹介がなされた。多次元状態空間での問題はこれから議論される大きな問題


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

(1)K.Kawazu;A one dimensional birth anddeath process in random environment, Japan J.Applied Math.vol.6,No.1,pp.97−109,1989
(2)K.Kawazu,Y.Tamura,H.Tanaka;Limit theorems for one dimensional diffusions and random walks in random environments,vol.80,No.4,pp.501−542,1989
(3)H.Tanaka;Refinement of limit theorems of one dimensional diffusions in random enviromnets(Subscript)
河津の講義(1)のReflecting diffusion processes in random mediaについては,ソ連邦リトワニア共和国ヴィルニュース国際会議で講演の予定(1989年6月−7月)


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

ランダムな媒質の中のランダム・ウォークの(1)一次元状態空間に於いての極限定理の精密化特にGolosovの研究を一般化する予定です。又,各種の到達時間の分布の極限定理の研究を発展させたいと思っています。(2)多次元状態空間上のランダム・ウォークについての再帰性の特徴付けを目指す予定です。その特徴付けについては当研究所の大型計算機によるシュミレーションで解析の目途を立てられないかと思っています。(3)(1),(2)から派生するマルコフ連鎖についての基礎研究も行いたいと思っています。
(1),(2),(3)の研究に際して,数理統計学と確率過程論の協同研究が有益であり,特に当研究所の清水教授との協同研究は成果を生むと思います。そのために当研究所に於いて共同研究を少くとも2度は開きたいと思います。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

市原 完治

名古屋大学

小谷 真一

東京大学

志賀 徳造

東京工業大学

清水 良一

統計数理研究所

杉田 洋

九州大学

高橋 陽一郎

京都大学

田中 洋

慶應義塾大学

田村 要造

慶應義塾大学

長田 博文

東京大学