平成20（2008）年度　重点型研究実施報告書

課題番号	20−共研−4101		分野分類			統計数理研究所内分野分類			a
						主要研究分野分類			1
研究課題名	情報量規準と高次非線形モデリングの数理
重点テーマ	統計メタウェアの開発
フリガナ 代表者氏名	コニシ　サダノリ 小西　貞則				ローマ字		Konishi, Sadanori
所属機関	九州大学
所属部局	大学院数理学研究院 数理科学部門 社会数理講座
職　　名	教授
配分経費	研究費	40千円		旅　費		260千円		研究参加者数		12　人

研究目的と成果（経過）の概要

本研究では，(1) 限られたデータに基づく大規模モデルの推定に関わるベイズアプローチおよび正則化法を新たな観点から見直し，有効なモデル推定法，アルゴリズムの提唱を目指した研究，(2) 時空間データの関数化，形や立体の数値化と関数化処理などを有効かつ効率的に行うための非線形モデリングの研究と関数化データ集合の中から高効率に情報やパターンを抽出するための理論・方法論の提唱を目指して研究を推進した．本年度は，識別・判別モデル，潜在変数モデル，次元圧縮モデルなどのさまざまなモデリングの研究を推進し，以下のような研究成果を挙げた．
(1) 高次元データに基づく複雑な現象の解明を目的として，データからの情報に加えて，当該分野の蓄積された知識を事前情報としてベイズアプローチによってモデルに同化し，現象の構造を有効に捉える非線形モデリング手法を提案した．
(2) 動作過程や現象過程を記録したデータに見られるように，時間の経過にともなって高頻度で観測・測定されたデータや時空間データを，観測時点の不均一性や欠測，さらに個体差や内在するノイズを考慮して関数化処理し，処理した関数データ集合に基づく非線形現象解明のためのモデリングと理論・方法論の研究に取り組んだ．特に，識別・判別法，次元圧縮法に関して，いくつかの関数データ分析手法を提唱することができた．応用研究として，気象データやスペクトルの分類問題などに取り組んだ．
(3) 構造方程式モデリングの研究，特に因子分析モデルの研究を推進し，ベイズアプローチによって有効なモデル推定の方法を提唱した．

当該研究に関する情報源（論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等）

[論文]
Ichikawa, M. and Konishi, S. (2008).　Constructing second-order accurate confidence intervals for communalities in factor analysis, British Journal of Mathematical and Statistical Psychology,　61, 361-378.
Ando, T., Konishi, S. and Imoto, S. (2008). Nonlinear regression modeling via regularized radial basis function networks, Journal of Statistical Planning and Inference, 138, 3616-3633.
Araki, Y., Konishi, S., Kawano, S. and Matsui, H. (2008). Functional regression modeling via regularized Gaussian basis expansions, Annals of the Institute of Statistical Mathematics, Springer Onlin 版, DOI(10.1007/s10463-007-0161-1).
Kayano, M. and Konishi, S. (2008). Functional principal component analysis via regularized Gaussian basis expansions and its application to unbalanced data, Journal of Statistical Planning and Inference, Online 版，DOI:10.1016/j.jspi.2008.11.002
Matsui, H., Araki, Y. and Konishi, S. (2008). Multivariate regression modeling for functional data, Journal of Data Science, 6, 313-331.
Hirose, K., Kawano, S. and Konishi, S. (2008). Bayesian factor analysis and information criterion, Bulletin of Informatics and Cybernetics, 40, 75-87.
Nonaka, Y. and Konishi, S. (2008). Variable selection in logistic discrimination based on local likelihood, Journal of Japan Statistical Society, 38-3, 431 - 450.

[著書]
小西貞則，越智義道，大森裕浩 (2008). 計算統計学の方法 -ブートストラップ，EMアルゴリズム，MCMC-, 朝倉書店.
小西貞則，竹内純一 (2008). 統計的モデリング/情報理論と学習理論，講談社．
Konishi, S. and Kitagawa, G. (2008). Information Criteria and Statistical Modeling, Springer, New York.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

「統計メタウェアの開発」共通公開研究会

日時：２００９年３月２日−３月３日
場所：統計数理研究所
参加研究テーマ（研究代表者）：
情報量規準と高次非線形モデリングの数理 (小西　貞則)
粒子型フィルタによる統計的信号処理の工学的モデリング (生駒　哲一)
Webにおけるインタラクティブ統計グラフィックスに関する研究 (山本　義郎)

研究参加者一覧
氏名	所属機関
石黒　真木夫	統計数理研究所
市川　雅教	東京外国語大学
井元　清哉	東京大学
川野　秀一	九州大学
北川　源四郎	統計数理研究所
立石　正平	九州大学
田村　義保	統計数理研究所
中村　永友	札幌学院大学
西井　龍映	九州大学
藤井　亨	福岡教育大学
松井　秀俊	九州大学