平成41992)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

4−共研−3

専門分類

1

研究課題名

多変量指数分布のパラメトリック族の構成とその推測

フリガナ

代表者氏名

タカハシ リンヤ

高橋 倫也

ローマ字

所属機関

神戸商船大学

所属部局

商船学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

多変量指数分布は、信頼性理論や極値理論では最も重要な分布であるが自然なパラメトリック族は存在しない。また、今までに提案されているパラメトリック族も満足のいくものではない。本研究では物理的現象に適合するような多変量指数分布のパラメトリック族を構成し、その族に関する推測問題について研究する事を目的とする。


本年度はおもに多変量分布の性質やその応用に関して、次のような研究を行った。
1.母集団分布が多変量極値分布の吸引領域に属すための必要十分条件をdependence関数を用いて与えた。また、周辺独立や完全従属になる多変量極値分布の吸引領域についても調べた。次に大阪と神戸の年間最高気温データを二次元極値データとみなして解析した。解析方法としては、Pickands(1981)やTawn(1988)による二次元指数分布を用いる方法を採用した。二次元指数分布の従属関数をノンパラメトリック法とパラメトリック法で推定した。
2.各母集団から取り出された標本が得られたとき、その情報に基づいて新しい観測値を母集団のいずれかに判別する問題を考える。これは基本的には、判別統計量を構築し、その性質を調べ、誤判別の確率を推定することになる。判別統計量の構築では、標本に基いていかに母数を推定するかが重要である。ここでは、予測尤度の観点から判別方式の導出を試みた。すなわち、新しい観測値を母集団のいずれかに判別する際に、判別された結果に何らかの特性を伴うように判別方式を構成しようということになる。本年度は正規母集団における予測尤度の性質を調べた。
3.多変量混合正規分布の漸近展開のL1−normによる誤差評価について研究し、誤差評価の簡明な式を与えた。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Takahashi,R.(1993). Asymptotic independence and perfect dependence of vector components of multivariate extreme statistics.(To appear in Statist. & Probab. Letters.)

清水良一、多変量正規分布の尺度混合の展開とその誤差評価、日本数学会、 1993年3月28日
高橋倫也、極値理論とその応用、応用統計学会、1992年4月25日

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

平成2年より統計数理研究所の共同研究で、清水、山口、高橋はそれぞれ、乱数の数理的研究、尤度に基づく距離関係の漸近的性質、極値分布族の特徴づけという中心課題を設けて研究をすすめ一応の結果を得た。これらの研究成果を基にして、多変量信頼性データや多変量極値データ解析のモデルとなる取り扱いやすい多変量指数分布のパラメトリック族を構成しその推測問題について研究を行いたい。そのためには文献資料が完備し、多くの統計研究者がおられ、かつ計算機環境が整っている統計数理研究所での共同研究をぜひ行いたい。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

清水 良一

統計数理研究所

山口 光代

福井大学