平成302018)年度 一般研究1実施報告書

 

課題番号

30−共研−1029

分野分類

統計数理研究所内分野分類

a

主要研究分野分類

5

研究課題名

津波リスク評価に係る多数アンサンブル津波伝播シミュレーション

フリガナ

代表者氏名

キタノ トシカズ

北野 利一

ローマ字

Kitano Toshikazu

所属機関

名古屋工業大学

所属部局

社会工学専攻

職  名

教授

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

 土木学会では, 海岸工学と都市計画学の両委員会にまたがる減災アセスメント小委員会を設け,新たな海岸防災ならびに減災対策決定プロセスを検討している.その根本となる考え方は,従来型の1つの想定最大シナリオに基づいた決定論的な検討ではなく,最低限の制約条件を設けた上での無数の想定に基づいた確率的な評価を行うことにある.
 その基礎資料となる津波水位アンサンブルデータセットを生成し,必要なリスク評価のために整備することが目的である.本研究で必要とする多数のアンサンブル計算を実行するために,統計科学スーパーコンピュータシステムを活用することにより,津波リスク評価に必要となる基礎となるアンサンブルデータセットを生成した.
 南海トラフを震源とする地震津波を対象として,Godaらによるスケーリング則に基づいて,すべり量を支配するパラメータを乱数で与え,津波の初期水位に必要な海底の変位を求めた.これをもとに,非線形分散方程式により津波の伝播計算を行ない,沿岸での津波高を求めた.今回は,特に,徳島県沿岸に来襲する津波を対象に,ハザードの確率評価として,2012年に制定された徳島県津波浸水想定で用いられている設計津波高に対して,津波の再現期間を地域海岸毎に求め,来襲津波の特性を考察した.
 なお,確率的なシミュレーションゆえの不確実性の評価ならびに必要なアンサンブル数についての議論や,津波の来襲に伴う浸水リスクの評価については,2018年度の途中となる10月末に本プロジェクトを開始しているため,十分な時間がとれずに,理論構築ならびに浸水計算などについては一切できていない.次年度に持ち越し検討を行う予定である.

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

2019年度中に結果の一部を報告できるように,現在,準備中である.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

研究会は開催していない.

ただし,
日時:2019年3月11日(月)午前10時から12時
場所:中央大学後楽園キャンパス 2402室
参加者:安田誠宏,北野利一に加えて,有川太郎(中央大学),福谷 陽(関東学院大学)で,津波確率的評価ワーキングを開催して,
1)ランダムフェーズ法の紹介ならびにその計算結果について
2)ロジックツリー法の紹介
3)津波確率の考え方の整理
4)浸水リスクの評価ならびに経済評価も含めた検討をはじめとして,次年度も採択されれば,検討すべき内容を議論した.

その他の打合せとして,参考のため,以下も記載しておく.
* 上野と安田は,11/7(水)に,スーパーコンピュータ利用の打合せを行ない,
* 上野と北野は,12/6(木)に,生起率の推定にかかるベイズ統計の打合せを行なった(いずれも,統計数理研究所にて).
* 山中,安田,北野は,減災アセスメント小委員会のメンバーとして,和歌山県,那智勝浦町,串本町での現地視察ならびに意見交換会(11/4(日)〜5(月)),第19回減災アセスメント小委員会(東北大学東京分室 サピアタワー10階,1/29(火))にて,本課題の津波シミュレーションの検討に係る情報収集ならびに意見交換を行なった.

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

上野 玄太

統計数理研究所

安田 誠宏

関西大学

山中 亮一

徳島大学