平成61994)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

6−共研−85

専門分類

7

研究課題名

癌細胞の浸潤モデルと外科手術への応用

フリガナ

代表者氏名

イマヤマ シュウヘイ

今山 修平

ローマ字

所属機関

九州大学

所属部局

医学部

職  名

講師

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

8 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

表皮層に発生する癌細胞を切除するための外科手術において、従来、病巣の皮疹辺縁部をどの程度切除すれば妥当であるかの明確な定量的指針が存在しなかった。本研究は、この問題に対して、表皮癌細胞の浸潤のメカニズムに関して幾何学的モデルや統計的モデルを考察し、症例データを解析して最終的には定量的な外科手術の指針を与えることを目的とするものである。


パジェット病は表皮内を周囲へと拡大してゆく皮膚癌である。これまでの多くの病理組織学的な検討から、腫瘍細胞は肉眼的な境界を越えて拡散していることが判明しているが、多くの場合、病巣の辺縁から3 cm離して手術すれば再発はないとされている。すなわち、腫瘍細胞の周辺への拡散能力には一定の法則があることが予想される。
表皮内での腫瘍細胞は拡散・浸潤しようとする水平方向への力と、これを上方へ排除しようとする宿主の表皮細胞の力との均衡によって決定されるものと仮定し、パジェット病の腫瘍細胞の表皮内での分布は数学的確率分布に従うものと考えた。
この見地から、連続切片を用いた組織再建築によりパジェット病腫瘍細胞の表皮内分布を検討し、いくつかの分布モデルへの適合性を数理統計学的に解析し、腫瘍細胞の表皮内での浸潤様式の解明と、今後の手術的治療範囲の決定への応用を試みた。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

標記の研究課題に関連して、研究代表者は人体の皮膚に限らず、広く生物の表皮について医学的立場から研究している。一方、共同研究者は細胞の幾何学的・統計的モデルを従来から研究しており、両者の共同研究によって既にいくつかの研究成果を発表している。また、臨床データを統計的に解析し、計算機による処理、計算機シミュレーションを実行する上で、統計数理研究所の研究環境・計算機環境が非常に有用である。
上記の研究目的を遂行するために、次のような研究計画を立てている。(1)パジェット病の手持ちの症例データに対して、これまでに統計モデルを当てはめて解析した結果を詳細に検討・改良し、研究論文を作成して印刷公表する。(2)新しい症例データを収集して、浸潤のメカニズムに対する幾何学モデル・統計モデルをさらに改良して、シミュレーションやデータの統計的当てはめ等により、普遍的な結果を目指す。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

行徳 隆裕

九州大学

清水 信之

九州大学

竹内 実

九州大学

種村 正美

統計数理研究所

沼原 利彦

香川医科大学

野田 啓史

九州大学

本多 久夫

兵庫大学